第2話 異世界人との遭遇

 目が覚めた、ようやく空が白んでくる頃であった。たき火にはまだ少し火が残っていたので木を組みなおし火の勢いを増してから川で顔を洗う。

 あたりを見渡すと少し離れたところで、鹿が水を飲んでいた食材として確保したい。静かに離れ革袋から弓矢を取り出し鹿に狙いを定め放つ、パンと鋭い音とともに矢は飛び出すがスピードがおかしい、目で追えない程の速度で鹿に迫る、鹿が音に驚いてこちらを見たため偶然に目に深く刺さる。脳まで届いたのか、一発で仕留めることが出来た。サバイバルナイフで解体をして袋に詰めていく。

 作業が終わってからたき火に戻り、昨日の残りのウサギを焼き食べる。

 食事を手早く済ませ、たき火を消し沢伝いに山を下りる。2時間ほど歩いて少し疲れたので木陰で休むことにした、歩いているときに少し思いついたおふざけの鏃を作ることにした。袋から鹿の首の骨を4つ取りだしドリルのような鏃を作り矢に取り付ける。作った矢を袋に詰め再び歩くそして日が頂点に昇る頃、川に橋が架かっているところにでた。

 道は、固められ整備が行き届いているので、そこそこの文明があるのだろう。

 さて、どちらに向えば村に着くのか目をつぶり索敵を行い周囲を確認するもめぼしい物は確認出来なかったので、下りを選んで歩き出す。

 しばらく歩き、先ほど索敵の限界地点を過ぎたので再び、索敵を使うと人とおぼしい陰と魔物を4体とらえた、確実に魔物に襲われているようだ。

 助けられるかわからないが、走り出すがスピードが50キロは出ているように感じる。すぐに目に見えるところまでたどりつく。

 襲われているのは2頭立ての箱馬車を守るように3人のロングソードを持った人が豚のような頭をした3匹の魔物と戦っている、その後ろに1周り大きな魔物が居るこいつが魔物のリーダーか?

 馬車のところには、傷ついた人がぐったりと寄りかかっている。

 弓と、鹿の鏃のついた矢を取り出しひときわ大きな魔物に狙いを定め放つ、またもパンと大きな音ともにソニックブームを起こしながら矢が飛んでいき魔物に刺さると腕が半分吹き飛んだ、グオオオと悲鳴を上げこちらを見てきた。2発目をつがえて放つ、2発目は魔物の眉間に刺さり勢いで吹っ飛び倒れた。

 1匹の魔物が、こちらに向ってくるがすでに矢は準備が出来ている、狙いを頭に絞り放つと魔物の頭が消し飛んだ。もう弓矢での戦闘は無理だと判断して弓を袋に押し込み忍者刀を抜いて残りを倒しに行く、3発の矢を放ったことに驚いて魔物も人も唖然とこちらを伺っていたが、魔物がいち早く起動する。

 魔物は、大剣を上段から勢いよく振ってくるが刀でいなし、横を走り抜けるとともに首筋を刀で切りつける。

 魔物は首から大量の青い血を吹き上げ倒れた。残りは馬車を守っていた3人によってすでに息絶えていた。

 「怪我をした人はだいじょうぶですか?」と馬車に近づと馬車の中から、ブロンドのウエーブがかかった美少女が降りてきて怪我人の様子を見てから「助けていただいて、ありがとうございます。怪我の方はこのままではかなり危ないです。」と言ってきた。おお言葉が通じるスゲーと緊張感のないことを思いつつも「どうしたら良いですか?」と訪ねた。

 「ヘコモア草があれば、ポーションが作れるのですが材料が足りません」と言うではないか。「ヘコモア草ってどんな薬草ですか」と訪ねると葉脈が薄紫色のギザギザした葉っぱと教えてくれた。

 そういえば昨日摘んだ薬草に似たものがあったと思い、袋からこんなのがあると取り出した。

 「ヘコモア草です!5株あればポーションが作れます」と笑顔で答えた。

 袋には100株程入っているのであげるのに全然問題ないので残り4株を渡した。少女は馬車から木箱を持ち出し薬を調合していく、程なくしてポーションなる薬が出来た、早速けが人に飲ませるとたちまち傷が治っていく。それをみて、うんラノベ世界のポーションだわと独りごちた。

 「これで危険は乗り越えました。ただ、失った血は回復しないのでしばらく安静にしておく必要があります」と安堵のため息をついた。

 「改めてお礼申し上げます。私プラダ商会のエリザベート・プラダと申します。後こちらの4人は護衛の冒険者で左からダグラス、フィリップ、アリエル後怪我をしたのはジャンと申します」と紹介された。

 「俺は、真之介といいます。旅の途中です」と返事をした。

 「シンノスケ様ですか?あまり聞き慣れないお名前ですね。もしかして東端の国フェイスト帝国の方ですか?」と言われたがフェイスト帝国なる物がどんな国かわからないし、まさか異世界から来たと言うのもあれなので「実はよくわからないのです、気がついたらこの近くの山中で倒れていて」と記憶がないふりをする。

 「どちらまで、ゆかれるのですか?もし良かったら馬車でお送りしますよ?あと、助けていただいたお礼もさせていただきたいですし。」

 「ありがとうございます。次の町か村までで結構ですから乗せていただけると助かります」と返す。

 「ではこちらにどうぞ、私たちは今マグノリアという都市に向っていて、2日後に王都トルマリノに帰る予定になっています。」

 「では、マグノリアまでよろしくお願いします」と馬車で移動することになった。

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