第24話 クエスト報告
冒険者ギルドの納品窓口で薬草を納品する。
今回は、山の向こう側だったので前回と違う薬草を採取していた。
内容は以下の通り
“パンダイ”の実、10個・・・・・・椰子の実に似た大型の種、割ると中には柔らかい白い実が有り果肉が有り、パンの代用食でうまい。
“魔界コブラ草”10株・・・・・・弱毒性の草、製法により強い解毒剤を作ることが出来る。猟師は、鏃に汁を付けて鳥を狩るときに使う。
“ブロンチュウ”5株・・・・・・身体強化のポーションの原材料
“キンシャチ”2株(超希少種)・・・・・・錬金術師に人気の植物。使用目的不明(錬金術師が秘匿)
“エロマニア”10株媚薬を作るときに必要な薬草(希少種)根は滋養強壮の漢方になる・・・・・・貴族やお金持ちのエロ親父に人気がある。
次々と、薬草を採りだしていくキンシャチを取りだしたところで、職員の頬がひくついているのを見た。
俺も、結構変なものを採取した自覚はある。最後にエロマニアを取り出すと、あたりに甘い香りが漂いだした。職員が花を見たとたん口元を押さえて「なんてもの、取ってくるんだ!早くこれに入れろ」と裏に通ずる搬送機の袋口を差し出した。急いで、袋にエロマニアを放り込むと、職員が後ろの方に視線を向けていた。つられて、後ろを見ると惚けたような顔をした者、口元を押さえた者、しきりに匂いを嗅いでいる者など様々な反応をしている人たちが目に入った。
「お前!知っていて最後に、今の出してきただろう」とあきれたような顔をしてきた。
俺は、にやりとすると頷く。
「今夜は、大変なことになるな。普通、深い関係の男女ペアの場合はともかく、マスクを付けて採取する薬草だぞ」
「ちょっとした、悪戯のつもりだったんですけど。凄い効果ですね」どこか人ごとのようにつぶやく。
「当たり前だ、催淫効果の高い媚薬の原材料だ。滅多にお目にかかれるもんじゃ無いから、貴族には人気があるが、受付は嬢ちゃんばっかだろ、取ってきた日にゃ地味にダメージを食らうぞ」と脅されてしまった。
「ほれさっさと、洗礼を受けてきやがれ」とニヤついた顔で言ってきた。
そこまでいやがられる素材だったなんて、まあ普通の女性からしたら、えっちい物とかは嫌悪されるか。仕方なくエミリーさんの所に行くと案の定、ジト目を向けられてきた。
クエスト完了報告の為に、ギルドカードを取りだして渡すと、エミリーさんは読み取り機に差し込んで内容を確認すると、大きなため息とともに「薬草採取の依頼とはいえまた変の物を、取ってきましたね。あなたは、あれを誰かに使うつもりで取ってきたんじゃ無いでしょうね。というか、また森に入りましたね?」と黒い笑みを浮かべている。額には血管が少し浮き出ている。
背中に、冷水を浴びせられたかのように震えが来る。
「あの森は、約束しましたからね。入ってませんよ?街道から少し外れただけですから」と一応弁解めいたことをつぶやくも「同じ事です!冒険者は慎重に行動すべきです。街道から外れたら魔物がうじゃうじゃ出て来て最悪命を落とすところですよ」と凄い剣幕である。
それからこんこんと冒険者の心得を説かれて、地味に精神的ダメージを蓄積していくと、顔に出たのだろうかフンと鼻息荒く。
「で?まだ隠しているんでしょ!魔物も査定してあげるから全部出してきなさい」と言われてしまった。
見抜かれているならしょうが無いと納品所に戻る「エミリーさんに見抜かれていました。魔物も納品します搬送口出してください」とげっそりした顔で言うと「懲りないやつだね。エミリー相手に隠せるかっての」と苦笑しながら搬送口を出してくれたので袋の口を当て、魔物を納品した。
その後、エミリーさんから冒険者ランクと実力が伴っていないから試験を受けるように言われた。実力が判明すれば心配せずに送り出せるからと言われれば受けねばならないだろう。
総額2,000万Lu、結構な額になったがギルド内が精神的に一番きつかった。 ジュースで喉を潤してから宿に帰りますか。
カウンターを背にいつものジュースを飲んでいると、結構可愛い女の子3人組がちらちらとこちらを伺って居ることに気がついた。
さっきやらかしてしまったから、嫌われることはあっても好意を持たれることは無いなと、改めて精神的ダメージが加算される。
意を決したかのように3人組が近寄ってきてその一人が声を掛けてきた。
「あなたFランクなのに護衛の依頼を完了したり、中級魔物を討伐したりした方ですよね」
「魔物のランクは知らないけれど・・・・・・たぶん間違っては居ないと思います」と会話のはじめが大事と丁寧に対応する。
「初めての方にこんな事言うのは大変失礼なのは承知していますが、私たちの願いを聞いてくれませんか?」とコテンと首をかしげる。
オフゥ!これはあれですか?勘違い男の大どんでん返しかハニートラップ?まあ自分の容姿は解っている。陰キャかモブも良いところな平々凡々とした容姿だ。そんな俺に、こんな可愛い女の子からお願いだなんて、後が怖いね。
「王都からとんぼ返りで帰ってきたところで疲れているから場合によるけど。それで良ければ」と返す。
すると女の子達の顔がパアッと明るくなり説明を始める。
彼女たちは、Eランクの冒険者で洞窟内の鉱物採取のクエストを受注したそうだ。そしてその洞窟は比較的安全で、パーティーで挑めばEランクの冒険者でも充分探索できるはずだった。
ところが、道中には食人植物、ゴブリンやオークと言った魔物が洞窟前にいて自分たちだけでは弄ばれた上に命を落としかねないと判断したらしい。
ギルドに報告したが、討伐には時間が掛かり、それを待っていると受けたクエストが無効になり、ペナルティーが掛かるとのことだった。
今回ペナルティーを受けると降格してしまうと泣きつかれた。またやっかいな依頼が~
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