第40話 冒険者学校5日目
昼休みを終え魔術専攻の校庭で、先生を皆と待っている。
少し寝不足で、ご飯を食べたことで余計に、頭がフワフワした感覚があり目をつぶれば立ったまま眠れる自信がある。
というのも、宿に帰ってからも、魔力循環と魔力操作の練習を夜遅くまでしていたからだ。
普通は、年齢の差もあるかもしれないが授業の訓練で魔力を扱うと結構疲れるらしく、家でも練習をする気力がでないらしい。
とは、少し仲良くなった、フランクという生徒から聞いた話である。
フランクは、強い男にあこがれが有り、剣術で先生の代理をした実績を評価し、何でも相談に乗ってくれるようになった魔術科の唯一の男友達である。
「夜遅くまで練習をしてたなんて、もしかしたら凄い魔術師になれるんじゃないか?15,6歳の冒険者なら途中でポーションを使うぐらいの量だぞ。ポーションって結構高いでしょう?使ったの?」
「いや、使ってないけど?そんなに魔力を消費するものなの?」
啞然とした表情で首を左右に振りながら。
「どちらかというと、精神力の方な。魔力は自分の中でただグルグル回っているだけだから消費しないんだ。ベテランになれば無意識で出来るけど、はじめはかなり集中しないと出来ないんだ。だから気力疲れを起こすから、状態異常回復のポーションが必要になるって訳」
知らなかった、俺は禅を経験しているからその延長線上で、魔力を操作していたから気がつけば夜中になっていただけなんだが。でも、睡眠と禅は別物だ、起きていることには変わりないから眠いのだ。
マリアンヌ先生が集合の合図を行うと、皆が整列をした。
「今日の課題は、それぞれにあった課題を行って貰います。今まで行っていた初級魔法とは別の魔法を発動して貰います。詳細はこれから配る札に書かれているので、記憶してできた人から実習に入ってください」言うと、近くに居た生徒に札の束を渡す。
渡された生徒は他の生徒に札を渡していき、手に取った生徒が内容を確認して覚えようとしている。。
まだ魔法を放つことが出来ない俺には札はないかわりに先生が、昨日の成果の確認をしてくれる事になった。
「昨日やったところの確認をするわね?魔力の移動、圧縮、拡散を見せてちょうだい!」
先生の言葉に頷くと、魔力を操作し始める。徹夜して練習してスムーズに動かせるようになった魔法を先生が確認する。
一通りの動作を終え、魔力の発動をやめると「昨日の今日で、よくそこまでスムーズに操作できるようになるとは驚きです。今日は初級魔法にチャレンジしてみましょう」
ようやく成果が現れたことに、先生はご満悦のようで口角が上がっていた。
「呪文とは、現象を魔力で具現化させる為のワードにすぎないの、だから高位の魔法使いは無詠唱で魔法を放つことが出来るけど。普通は、そこまでに到達するのは凄く時間が掛かるのよ。では、私に続けて詠唱して的を狙って見なさい。」先生の言葉に頷く。
「魔力はこのぐらいで『万物に眠りし火霊の子よ、我が手に集いて礫となれファイアボール』とね、はいどうぞ」と両手でソフトボール大の丸を作っていた。
掌に魔力を集めソフトボールの大きさにまとめながらワードを唱える。
『万物に眠りし火霊の子よ、我が手に集いて礫となれファイアボール』
すると魔力に熱がこもり火球となるが、熱いと言うほどではない。それを的に向って押し出すようにした。
火球は手を離れ、勢いよく的に向って飛んでいき的に当たると弾けた。
初めて魔法を放てた事に、うれしさと驚きが混ざった気持ちで手を見ていると先生が、その調子で、どんどん練習しなさいと言ってくれた。
他の生徒に混じり、順番を変わりながら魔法を放つ、他の生徒は魔法をそれぞれの属性の矢に変えて撃つ練習を行っている。
ファイアボールを撃つのになれてきたので、皆と同じ魔法が撃ちたくなった只、こちとら元現代人である故に、矢より拳銃等の武器が想像しやすい、先生の目を盗んで少しアレンジして魔法を放つことにした。
呪文のワードは最初そのままで魔力の圧縮を小指大まで行うそして最後のワードは弾丸をイメージする『『万物に眠りし火霊の子よ、我が手に集いて礫となれファイアブリット』』
手は勿論、拳銃の形をまねている、親指を立て人差し指と中指を銃身に見立て的を狙う。
魔法は、成功し的に向う但し、アロー形の魔法の早さの比ではなく的を貫通してしまった。
的は、白と黒の円を重ねた射的や弓道で使うあの的と一緒だ、その的の3重目の左上に穴が開いている。
魔法訓練場には、魔方陣等で暴走を抑え被害が他に行かないようにしてある。
的も壊れないように、対魔方陣を施してあると、座学の教師やマリアンヌ先生にも教わって居たにも関わらずにだ。
視線が一斉に俺に集まる。勿論先生も俺を見つめていて、啞然としていたが気を取り直してつかつかと詰め寄り睨んでくる。
「シンノスケ君?今はファイアボールの練習よね!何をやったのかな~」
低く怒りを含んだ声音に冷や汗が流れる。
まさか発動し、威力だって魔方陣を破壊して的を射貫くなんて考えもしなかったので、うろたえてしまう。
「ファイアボールの練習にちょっと飽きてきたので、皆みたいな魔法が打てないかな~なんて思っちゃいまして」あははと笑いながら後頭部をさすった。
「後で、職員室にいらっしゃい」あきれた視線とともにため息をついた先生がこめかみをぐりぐりと揉みほぐした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます