第2話 担当就任
昨日は何とか予定していた仕事を終わらせて日付が変わるまでには帰ることが出来た。
でも予定していた時間をだいぶ過ぎてしまったし編集長に仕事のやり過ぎには注意を受けたからな。気を付けないと。
そして翌日となる今日。
眠い目をこすりながら出社すると既に大室が自分のデスクで仕事をしていた。
「おはよう。大室さん出社早いんだね」
「おはよ!うん。大体この時間には来てるかな。
部活やってたせいかもしれないけど早起きが習慣になっちゃって今でも毎朝ランニングしてるんだよ。
で、その後シャワー浴びて朝食食べても結構早い時間で・・・家に居ても暇だし会社に来ちゃう感じかな」
「へぇ。朝からランニングまでしてるんだ。凄いなぁ」
「まぁ習慣だよ習慣。渋沢君は運動とかしてるの?」
「え~と・・・僕はe-Sports派かな・・・」
「・・・まぁ私もそういうの好きだけどたまには体も動かさないとね。結構編集の仕事って体力使うよ」
「はは確かに・・・僕体力無いからな」
大室もゲームとかやるんだな。
高校の頃はあんまり興味とかなさそうだったけど。
にしても、体力・・・そうだよな。
少し僕も体力つけないとだな。
太ってはいないと思うけどそれ程筋力もないし・・・確かにこれじゃ男性として頼りないかもしれないな・・・振られて当然かもな。
「ん?どうかした暗い顔して。もしかして体力無いとか気にしてたりした?」
「え?あ、そんなことないよ大丈夫。そうだなジムにでも行って少し鍛えようかな」
そんな暗い顔とかしてたのかな僕。
でも・・・大室はちゃんと僕の表情とか見てくれてるんだな。
香苗は・・・多分僕の表情なんか見てくれていなかったんじゃないかな・・・
駄目だな。ネガティブな考えは少しやめないと。
「うん。その方がいいと思うよ♪ 何なら一緒に走る?」
「え~と・・・それはまだいいかな・・・疲れて多分仕事どころじゃなくなりそう」
「ふふ まぁ無理はしないでね」
などと話をしているうちに佐々木編集長含め編集部内の人も出勤してきた。
うちの部署は基本フレックスで10:00-15:00のコアタイムを含めれば出社時間は自由なんだけどほとんどの人は9:00前後には出社している。
この時間って電車やバスの本数も多いし混雑はするけど通勤はしやすいんだよね。ちなみに会社は横浜と川野辺のほぼ中央にある横川駅が最寄。一応は急行停車駅ということで駅前は賑やかで商業施設や商社なども多くある。
自分の席に座り僕も今日の仕事にとりかかろうと書類を開いていると、出社したばかりの佐々木編集長が僕と大室に声を掛けてきた。
「ちょっと時間貰えるかしら」
「え、はい大丈夫です」
「はい」
会議室のテーブルに編集長に向かい合う形で大室と並んで座る。
何だか面接でもされている気分だな。
「とりあえうず君たちにやってもらうことに決めたから」
「へ?」
「って先輩何を決めたんですか?」
「・・・ゴメン説明できてないよね。
今うちの部署は隔月発売の旅行ガイドと横川と横浜向けのタウン誌を発行してるのは知っての通りだと思うけど、今度川野辺向けのタウン誌も作ることになったのよ。ここ数年でだいぶ駅前とかも賑やかになってきたし要望も多くてね。
で、その担当を2人にやってもらうことに決めたのよ」
「えっ担当って大室さんはともかく僕は入社したばかりですよ!」
「私は・・・構いませんが今横川の方も担当してるんですが」
へぇ大室って横川のタウン誌を手掛けてるんだ。
あれって、市民目線の記事が多くて結構活用させてもらってたんだよな。
「うん大室っちには継続して横川メインで対応してもらうつもりだから主担当は渋沢君ね。
あ、もちろん入社1か月の新入社員に仕事を丸投げするつもりは無いから私や大室っちでフォローはするよ」
「で、でもなんで新人の僕なんですか?他にも編集部には人が居るのに」
僕じゃなくてもベテランの吉岡さんやサブの立崎さん、それに旅行ガイドの担当で出張は多いけど山本さんや鬼塚さんとか・・・
「まぁ確かに渋沢君はまだまだ力不足だとは思うけど大室っち含め2人は川野辺高校の卒業生なんでしょ?特に渋沢君は今も川野辺に住んでるみたいだし地域にも詳しいと思ったのよ。
何より雑誌の立ち上げを行うのにいい勉強になるかなと思ってね。どうかな?チャレンジしてみない?」
「そういう事でしたら是非!川野辺は僕が生まれた大好きな町ですし紹介したいところとかも沢山ありますので」
「うん了解。良かったよ引き受けてくれて。大室っちもそれでいい?横川と兼任でちょっと忙しくなっちゃうかもだけど」
「はい。大丈夫です。私も今はこの横川に住んでますけど高校卒業までは川野辺に住んでましたから思い入れもありますし」
そっか大室はもう川野辺には住んでないんだ。
そうだよな。僕は大学も実家から通ってたけど・・・むしろ僕みたいに地元に残ってる人の方が少ないのかな。
鶴間や栗平は横浜の大学に通い始めて学校の近くで暮らし始めたみたいだし、有坂も横浜の専門学校に進学して確か1人暮らしだ。
それに就職して地元を離れたやつとかもいたよな。
高校を卒業してからもう5年目になるんだもんな。
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