第44話 プレゼントをあなたに②
<大室 小春視点>
今日は11月20日。
横浜駅近くのちょっとおしゃれな隠れ家的居酒屋。
若菜ちゃんから"仕事帰りにみんなで女子会しようよ♪"と珍しいお誘いが来た。
もちろん参加ということで、仕事を終わらせてお店に着くとそこには見慣れた面々。高校時代からの気の置けない友達が居た。
若菜ちゃんはもちろんだけど瑞樹に栗平さんそれに富田さん。
そして・・・
「「 小春ちゃん誕生日おめでと~」」
「ありがとう♪ってえ?え!何?今日ってそういう集まり?」
「そういう事。若菜ちゃんが小春の誕生日が近いから集まらないかってね♪」
と瑞樹。
そしてサプライズ成功といった感じでニコニコ顔の若菜ちゃん。
高校の頃みたいな人懐っこい感じの自然な笑顔だ。
有坂君と上手くいってるんだな。きっと。
本当・・・良かった。
「ありがとう若菜ちゃん」
「当日は"色々"と予定が入るだろうから少し日程ずらしたんだよ♪」
「色々と?」
ん?何のこと若菜ちゃん?
「あ、そうそれ!どうなの渋沢君とはその後!」
「そうだね。私も気になるかな~」
「でも渋沢君って奥手そうだからね。まぁうちの智樹も・・・」
「え?あの、ちょっと・・・」
矢継早に渋沢君との進展具合を質問された。。。
でも当日は"色々"って私誕生日とか渋沢君には話してないんだけど・・・
「ってもしかして・・・若菜ちゃん?」
「ふふ~ん 有坂君経由で伝えといてもらったから今頃プレゼント考えてると思うよ」
「「おお!!」」
「山下さんやるねぇ~」
え~~!!渋沢君が?
じゃ じゃぁこの間の"日曜日映画でも行かない?"ってデートの誘いって誕生日をお祝いしてくれるの?
普通に"いいよ♪"って返事帰しちゃったけど全然そんなの考えてなかったよ。
「その顔はもう渋沢君からお誘いがあったのかな?」
「う うん。映画一緒に行かないかって」
「ほぉ~ 渋沢君そうきたか」
「み 瑞樹?」
「うん。誕生日とは言わないでサプライズ狙ってるのかな?」
「栗平さん?」
「あ、大室さんは渋沢君がお祝いしてくれるって知らない感じで行かなきゃ駄目だからね。折角サプライズしようとしてるんだから」
「富田さん?」
何だかみんな楽しそうなんだけど・・・・
その後、散々からかわれたんだけどお酒も進みいつのまにやら皆の恋バナに。
「・・・でね。大和がね"僕には春姫が必要なんだ"ってね!」
「はいはい。ごちそうさま」
「瑞樹は対応冷たい~」
「そういう瑞樹ちゃんも旦那さんとラブラブじゃないですか~」
「そ そんなこと!」
「ふふ~ 瑞樹は栗田君のことが大好きなんだもんねぇ~」
「ちょ ちょっと小春!!」
「だよねぇ~ 高校の頃って2人とも意地張ってばかりだったから私達も大変だったもんね」
「ちょっと富田さんまで・・・そ そういう富田さんこそ恩田君と一緒に道場継いだんでしょ?」
え?そうなの道場って富田さんの家って空手道場だよね。
恩田君も確か空手の有段者だった気はするけど。
「まだ継いだってわけではないよ。智樹も普通に会社勤めしてるし」
「そうなんだ」
「うん。でもお父さんも智樹の事は認めてるし気に入ってもくれているんだけど・・・」
「だけど?」
「"自分より弱い奴に娘はやれん!"って・・・」
「え~と・・・お父さんに恩田君勝てそうなの?」
「智樹も頑張ってはいるけど・・・」
「「だよねぇ~」」
確か富田さんのお父さんって元警察官で署内で空手や柔道の指導もしてるとか言ってた気がする・・・恩田君も大変だ。
でも、なんだかんだ言ってこの2人も幼馴染でいつも一緒なんだよね。
「あ、そういえば春姫ちゃんはもう籍入れたんだよね?」
「うん。先月一緒に」
「え?なに栗平さん結婚したの?相手は鶴間君?」
「うん。もちろん♪」
「え~何それ いいなぁ~。じゃあ今は栗平さんじゃなくて鶴間さんなんだ」
あ・・・確かに。
もう栗平さんじゃないんだ。
「う~ん確かに。まぁ今まで通り栗平とか春姫とか呼んでくれればいいよ。
また"鶴間さん"とか呼ばれるのも慣れないし・・・」
そう言いながら少し顔を赤くする栗平さん。
何だか幸せそうでいいな~
「本当仲いいよね。式は挙げるの?」
「うん。今色々と調べてるんだよ。私は忙しいしいいって言ったんだけど大和が私にウエディングドレス着せてあげたいからって♪」
「もぉ~何だか甘々♪」
その後もみんなで楽しく盛り上がり終電近くに解散。
近くに住んでいる栗平さんや会社帰りの恩田君と待ち合わせしているという富田さんと駅前で別れ私は瑞樹と若菜ちゃんと電車に乗った。
「若菜ちゃん。それに瑞樹。今日はありがとうね。こんな風に誕生日をお祝いしてもらったの本当久しぶりで嬉しかったよ」
「気にしないでよ。私の方こそ喜んでもらえたみたいで良かったよ。
また今度ご飯でも行こうね♪」
「うん。若菜ちゃんも・・・頑張ってね」
「うん。ありがとう!」
「小春こそ頑張りなさいよ!いつも周りに気を使ってばかりなんだから・・・小春だって幸せになっていいんだからね」
「瑞樹・・・うん。頑張るよ」
横川駅で電車を降り、2人と別れた私は歩き慣れたいつもの道を一人歩いた。
遅い時間だけど駅前の飲み屋街はまだ仕事帰りのサラリーマンたちで賑わっている。
11月も後半ということで少々肌寒い。
早く家に帰って温かいお風呂に入りたいなぁ~
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