第26話 お買い物

ミニ同窓会から数日が経った。

今月分の[川野辺タウンウォーク]配布日も近づき僕達はいつもの様に忙しい日々を送っていた。


何というか特集はリバーランドで・・・まぁそれは良いんだけど・・・

編集長権限ということで佐々木編集長に僕と大室の2ショット写真を掲載するよう言われちゃったんだよね。

まぁ僕としてある意味保存版の1冊になりそうだけど・・・絶対有坂とか大和にはからかわれそうだ。

大室なんて友達多いから大変だと思うけど・・・編集長に言われたときむしろ嬉しそうな顔してたよな?


リバーランドの他は、この間お邪魔した清水先輩実家の小料理屋"あかね"と商店街にある湯川呉服店。ここも僕らの先輩の実家らしい。

それにスポンサーにもなってくれている相良不動産の記事が今回掲載されている。今回も僕たちが話しやすいようにと川野辺高校のOBやOGに関わりのあるお店と堀内さんが選んでくれた形だ。

ちなみに相良不動産に関しては自称不動産会社のアイドル事務員で小春の後輩でもある相良幸さんの写真も掲載されている。

普通に可愛らしい感じに撮れてたけど・・・まぁ僕としては小春の方が。。。


「かい じゃなくて渋沢君。編集終わりそう?」

「あぁ後はもう一回通しで最終チェックするだけかな。こは じゃなくて大室さんは横川のタウン誌もあるんだろ?間に合いそう?」

「うん。こっちもあと少しだよ。で・・・早く終わったらだけどさ今晩買い物付き合ってくれないかな?」

「え?あ、うん。大丈夫だよ頑張って終わらせる」

「うん♪」


「・・・2人とも仲が良いのは良いことだけど・・・せめて編集室の外でね」

「「はい・・・」」


編集長に叱られてしまった。

でも、一緒に買い物か。

最近忙しくて帰りもバラバラだったし、ちゃんと付き合う様になってからはそういうの初だよな。ちょっと楽しみだな。


----------------------

思ったより手間取ったけど何とか定時近辺でチェックも完了し帰れる見込みが付いた。

小春は編集でお世話になっている横川の町内会会長と打合せということで外出しているので、僕は終わった旨を小春にメールした。


[お疲れ。こっちは終わったよ]

[うんお疲れ様。私の方ももう少しで終わるから横川の改札前で待ち合わせしよ]

[了解。慌てなくていいからね]

[ありがとう♡]


何だかこういうやり取りも良いよな。

などと思いながら机の上を片付け僕は横川駅に向かった。

改札前に着いた僕はスマホでWEB小説を読みながら小春の到着を待った。

小春と付き合う様になってから何となく懐かしくなって昔読んでた小説とか読み始めたんだよね。ファンタジー作品にラブコメ・恋愛作品とテンプレ的な作品も多いけど読んでると中々面白く時間を忘れて読んでいられる。


「か・い・せ・いくん。お待たせ!」

「あ、小春。早かったね。もっとかかるかと思ったよ」

「うん。開成君に早く会いたくて♪」

「・・・・」

「ん?どうしたの?」

「い いやちょっと小春の言動が可愛くて・・・」

「・・・やめてよ真顔でそういうこと言うの照れるでしょ!」


そう言われても女性に"早く会いたくて"とか言われたことないしさ。

こういうこと言ってくれる子が彼女だと思うと嬉しすぎだよ。


「それより早く行こ」

「え、あぁ。買い物ってどこ行くんだ?」

「西川野のショッピングモールだよ。その・・・水着買うの付き合ってくれるんだよね」

「み 水着!!!」

「もう何想像してるのよ。早く行こ!」


え~と・・・そうすると僕は今日小春の水着姿とか見れたりするのか?

照れているのか耳まで赤くした小春に引っ張られるようにして僕は電車に乗った。


----------------------

「どのお店に行くかは決めてるのか?」

「うん。バスケ部の頃にバッシュとか色々買ってたスポーツ用品店がまだあるはずだから。あの店ならポイントとか結構溜まってたはずなんだよね」


ポイントかぁ~ しっかりしてるな。

ということで小春御用達?のスポーツ用品店に到着。

結構モール内でも大き目の店舗で品揃えも豊富そうだ。


僕と小春は夏向けの特設コーナーに向かい早速水着選びを始めた。

色々と物色している中、小春が僕に話しかけてきた。


「ねぇ開成君はどんな水着が好き?やっぱり露出多めのとかが良いのかな♪」

「ろ 露出・・・そ そうだな」


女性の水着を選ぶとか初だし正直好みと言われても・・・・

一応僕も男だし、そりゃ露出高めの水着は好きだけどさ・・・あんまり露出多いのも・・・・いろんな人に小春が見られるわけだし・・・


「その・・・小春はスタイル良いしどんな水着でも似合いそうだけど、今手に持ってるビキニとかも似合いそうかな」

「そんなスタイル良くないけど・・・これ私にも似合うかな?」

「うん。似合うと思う」

「そう?じゃちょっと試着してみるね」


そういって試着室へと向かう小春。

勢いで"ビキニとか似合いそう"とか言っちゃったけど・・・そりゃ似合うだろうけど・・・あれで良かったんだろうか?

と自問自答していると小春から声を掛けられた。


「ねぇ開成君。試着室・・・その水着見てくれるかな?」

「え、あぁ」


小春に呼ばれ試着室の前に着くとカーテンが少し開いた。


「お 思ったよりも水着の布部分が小さかったんだけど・・・どうかな?」

「・・・・」

「開成君?」

「・・・・ゴメン。凄く似合うけど僕には刺激が強すぎかも。他の選ぼ」

「う うん」


そう本当に小春に良く似合ってたんだよ。

でもさちょっと肌の露出多すぎな感じで僕の理性が持ちそうにない・・・


結局、2人で色々相談しさっきのよりは少し布面積大目な黒ビキニタイプの水着を買った。

一応有坂達からプールに行くとき声掛けるとは言われてたけど、プールに行かないなら2人で行っても良いし、海の方へ旅行というのでもいいんだよな。


何だかその日は水着姿の小春が頭から離れず、ちょっと寝不足気味な状況で出社となってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る