第25話 宴の後に

昼過ぎから始めたミニ同窓会も気が付けば21時。

お店は貸切にしてもらっていたので時間制限は無いけど後片付けや明日の営業もあるということで栗田とは22時で締めということで話をしていたんだけど・・・


「でな。俺の方から瑞樹に告白してな」

「もうそういう話しやめて!恥ずかしいでしょ!」


久しぶりに顔を合わせた面々ということもあり、22時と言っていた栗田本人がノリノリで友人達との会話を楽しんでいた。

飲んでキャラ変わってるよなあいつ・・・後で嫁さんに怒られるんだろな。


そして、今回の主役である有坂と山下さんは今僕と小春と酒を飲んでいる。

高校の頃にみんなでゲームセンターに行ったこととかはあったけどこの面子でお酒を飲むのは初めてだな。

山下さんも気のせいか今日最初に会ったときに比べると笑顔が見られるようになった気がする。


「そういえば開成さぁ~ さっきから大室の事を名前で呼んでるよなぁ~ 

 凄く仲良さそうだけど・・・どういうことかなぁ~」

「あ~私も気になるなぁ~」


有坂も山下さんも僕たちのところに来るまでにだいぶ飲んでるな・・・

でも、この2人にはちゃんと話しておいた方がいいよな。


「それはだな・・・最近付き合いはじめたんだ僕達」

「・・・マジか付き合ってるのかおめでとう!ってちゃん告白できたんだな!」

「小春ちゃん やったね!おめでとう」

「あ ありがとう」


有坂、山下さん。声大きいって・・・


心配した通り大声で言うもんだから隣のテーブルで飲んでいた栗田夫妻や大和達までこっちにやってきた。


「なになに 渋沢君と小春が付き合い始めたですって?」(栗平)

「大室さん高校の頃から渋沢君の事を気にしてなかったっけ?」(船橋)

「そうなんだけど、この子そういうところ奥手で・・・」(元 鮎川)

「中々やるねぇ~渋沢君も」(下北)

「ほんと意外~」(生田)

「え~じゃあ卒業式の日に言ってたのって渋沢君の事だったのね」(相良先生)

「大室ちゃんは渋沢君のどこら辺に惚れちゃったのかな~?」(富田)


と囃し立てる女性陣。

今日は女子多いからな・・・それに皆結構酔ってる。

相良先生まで一緒になって騒いでるし。。。


「え~と・・・やっぱり優しいところかなぁ~

 それに真面目で私の事もちゃんと考えてくれてるし~」

「「「おぉ!!!!」」」

「あの大室ちゃんが惚気てるぞ。これは本物だ!」(富田)


いや小春。。。普通に応えてるし。それに照れるってそれ。

そして、ふと横を見ると有坂と山下さんは僕らの事をニヤニヤしながら見てる。

この2人絶対大声はワザとだろ・・・


「渋沢君。小春はちょっと天然なところはあるけど、凄くいい子だから大切にしてあげてね」

「あ あぁ約束するよ」

「ちょ瑞樹。天然って何よ天然って!」

「自覚無しなのね・・・・でもほんとに良かったね小春。

 高校の頃ずっと好きだって言ってたもんね」

「瑞樹・・・・」


・・・そうなの?

有坂に言われた時も思ったけど僕ってそんなに鈍感だったのか?

これから小春とは正式に付き合うんだから気を付けないと・・・


その後も話のネタにされながら同窓会という名の飲み会は続いたけど栗田達に申しわないので22時を少し過ぎたところで会は示させてもらった。

有坂達は来ないだろうけど次に会うのは1月の同窓会かな。



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少し皆で片付けを手伝った後、酔い覚ましに少し夜風に当たろうということで川野辺駅前まで皆で歩くことになった。

こうやって有坂達と川野辺の町を歩いていると学生時代を思い出すな。


駅前に着くと恩田や富田さん、豪徳寺に結城先輩は川北方面に住んでいるということでバスで。

船橋さんや下北さん、相良先生は川野辺駅の近所に住んでいるので、それぞれの家に向かって帰っていった。

大和と栗平さんも普段は横浜市内で同棲してるらしいけど今日は近所にある大和の実家に泊まるらしい。あいつらは家族ぐるみの付き合いだからな。


そして、今は僕と小春、それに有坂と山下さんの4人だけが駅前に残っている。


「今日はありがとうな。本当に楽しかった」

「うん。私もみんなに会えて嬉しかったよ。本当にありがとう」

「そんな気にすんなよ友達だろ?また今度飯でも食べに行こうぜ。

 小春オススメの美味しい店がいっぱいあるからさ」


2人共本当に楽しんでくれたんだな。

何だか表情も昼に会った時より生き生きしてる気がする。


「そりゃ楽しみだ。鶴間達も声掛けてまたみんなで行こうな」

「そうだな。今度は僕たちもデートの仲間に入れて欲しいしな」

「ん?なにデートって?」

「高校の頃さ、有坂達と大和達がダブルデートで川北のプールに行ったらしいんだ。僕はお1人様だったから誘われなかったけど、今度は小春も居るし僕たちも誘ってくれってな」

「じゃトリプルデート?だね。何だか楽しみ♪」

「そうだね」

「・・・・あ、そろそろ電車来るな。じゃ開成、大室またな!」

「あぁ またな!」


と有坂と山下さんは駅改札へと向かっていった。

2人は有坂のマンションで一緒に住んでいるらしい。

何気に有坂の職場は横川の近くらしいからまた近いうちに会えるかもな。


「上手くいったね」

「あぁ小春や栗田達が協力してくれたからだよ」

「そんなことないって。開成君が頑張ったからだよ。

 若菜ちゃんも有坂君も凄く楽しそうにしてたし」

「だな」


本当良かったな。

あの2人は辛い思いも沢山したんだし幸せになって欲しい。


「ところでさ・・・さっき話してたトリプルデートって・・・もしかしてプールとか行っちゃうのかな?」

「え?あぁ有坂は今度プール行くとか言ってたけど確定ではないと思うよ」

「私、ここ数年プールとか海とか行ってないから水着とかなくて・・・今度一緒に水着買いに行ってくれないかな?」

「え、あ、そうだな買いに行こうか。小春の水着姿も楽しみだな~」

「もぅ変な想像しないでよ~そんな自信ないし」

「そうなの?前に言ってたじゃんナイスバディの小春ちゃんなんだろ?」

「うぅ~そういえば前にそんな事言った気も・・・」


まぁ別にスタイルとか気にしないけどね。

小春と一緒に居られれば多分何処に行っても楽しいと思う。


「行こうか」

「うん」


今日は小春も家に泊まってくことになってる。

母さんも小春の事は気に入ってくれてるし何気にラインの交換とかもしていた。

多分ネタは僕の事だろうけどやり取りの内容は不明だ・・・ただ親と仲良くしてくれるのは大切だからな。

何となく外堀を埋められてる感もあるけど僕も将来の事きちんと考えないと。

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