アフターストーリー6 -その後の2人-

「開成君!ネクタイ曲がってるよ」

「え!?あ、ほんと?」

「もぉ」


そう言いながら僕のネクタイを直してくれる小春。

滅多にネクタイなんてしないからこういうシチュエーションって少し照れるな。


「ネクタイなんて久々だからな」

「だね。職場でスーツの人とかほどんと居ないもんね。うん良い感じ♡」

「ありがと 小春の方は準備大丈夫?」

「うん。いつでもいいよ。私もフォーマルとか久々だったから着れて良かったよ。最近・・・その・・・結構太ったし」

「え?そんなことないと思うよ?」

「もぉ開成君はまたそうやって私を甘やかすんだから・・・」

「はは まぁあんまり食べ過ぎないようにね♪

 そろそろ行こうか。大和達も駅に着くだろうし」

「そうだね♪」


僕と小春が結婚してから1年が過ぎた。

何だかあっという間だったよほんと。

僕の実家ということで母さんは同居だけど、本格的な2人での生活の始まりということで、当然のことながら色々と戸惑うこともあった。


もちろん以前と同様に仲は良いと思うけど・・・何度か喧嘩もした。

結婚して一緒に居る時間が長くなれば当然今まで見えてこなかった部分もお互い見えてくるからね。

別々に生活をしてきた2人が一緒に過ごすわけだからある意味仕方ない。

小春とはそのたびに話し合い良い関係を築けていると思ってはいる。

まぁ大抵は些細な事が原因だったりするんだけどね♪


さて、そんな僕らだけど、今日は久々に正装をしてある場所に向かっている。

僕たちが式を挙げた結婚式場だ。

もちろん結婚式場ということで式を挙げる人が居るわけだけど・・・


「よぉ開成!遅いぞ」

「小春~久しぶり~」


川野辺の駅前に着くと同じくフォーマルを着た二人組が僕たちを迎えてくれた。

鶴間夫妻だ。

僕らと同様に今日の新郎新婦とは馴染み深いということで一緒に行くことにしていた。


「悪いな大和。でもお前らが来るの早いんだろ。約束の時間までまだ10分以上はあるぞ」

「はは まぁ気にするな。何だか今日の日を迎えられたのが嬉しくってな」

「僕もだよ。あいつら・・・色々あったもんな」


ほんとう・・・色々あったもんな。

だから余計に嬉しい。


「春姫 久しぶり♪お腹、だいぶ目立ってきたね」

「ふふん。でしょでしょ。何だか嬉しくって。

 小春のところはどうなのさ。そろそろいいんじゃない?」

「わ、私達は・・・。ねぇ、開成君」

「え?あ、そうだな・・・・そろそろ?」

「え?そろそろなの?」


あ、もしかして違った?

思わず小春とお互い目をあわせ赤面していしまう。


「相変わらずだなお前らは・・・それより来月から2人共仕事の方も頼むな」

「あぁ任せとけ!」


僕らより先に結婚していた大和達だけど、昨年末に奥さん(春姫)が妊娠していることが分かった。出産予定は夏頃らしいけど今から楽しみで仕方がないらしい。

子供・・・もう少し小春と2人の生活を楽しみたい気もするけど・・・ちょっと羨ましい気も・・・。帰ったら小春と相談かな。


でだ、ギリギリまで奥さんも仕事は続けるらしいけど広報や事務系の仕事は奥さんが一手に引き受けていたということもあり、少し仕事を手伝ってくれないかと大和に頼まれたんだ。

もちろん僕も本業があるからフルタイムでは無理だけど編集長にも許可をもらって空いた時間や休みの日を使って来月から小春と一緒に手伝う事となった。


小さい頃に皆で一緒に"ゲーム作ろう"と語り合ってたけど思わぬところで僕も参加できることになって正直嬉しかった。

ある意味小さい頃の夢が叶ったのかな。

プログラムとかそういうセンス無かったからな僕。。。


「あ、送迎バスが来たよ」

「じゃ 行こうか」






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「まだ1年なんだよなぁ」

「そうだね。でも何だかあっという間だったよね」


式場のエントランスに入ると思わず当時の事を思い出してしまう。

忙しい仕事の中、担当の永田さんと連絡を取りながら何度もこの式場にも通ったよな。

それに小春のウエディングドレス姿・・・綺麗だったなぁ~。

思わず顔がにやけてしまう。

あ、後で永田さんにご挨拶もしないとな。


そんな事を思いながら式場の控室に入ると、高校時代に仲が良かった懐かしい仲間たち見ることが出来た。

栗田夫妻、恩田夫妻、船橋さんや下北さん、それに僕はあまり付き合いがなかったけど同じクラスだった生田さん。それにテニス部繋がりの豪徳寺や結城先輩、渋川先輩も居る。後は、職場関係と思われる人かな。

何年か前にフルールでサプライズの同窓会を開いたけどあの時のメンバーは皆来てるな。


僕達の式に招待したメンバーも多かったけど普段会うことも少ないので久々の再会で話も弾む。

卒業してからだいぶ経つのにこうして話をしていると高校時代に戻ったみたいに感じられる。


そんな感じで旧友との親交を深めていると係りの人が控室に来て、チャペルへの移動を促した。

いよいよ式が始まるんだな。


1年前僕たちも愛を誓い合った最上階にあるチャペル。

何だか懐かしい。

隣の小春を見ると僕と同じ気持ちなのかそっと手を握ってきた。


チャペルの中には二人の親族が既に着席していた。

そして、全員が着席したところで静かな音楽が流れチャペルの扉が開き皆の拍手に迎えられる形で僕らの親友でもある新郎新婦が入場してきた。


「おめでとう2人共!」

「おめでとう有坂君!若菜ちゃん!」




******************

あとがき


ここまで読んでいただきありがとうございました。

"あの時の君と","僕は彼女が嫌いなはずだ"のアフターストーリー的なかたちで、開成達だけじゃなく"その後の2人"を描いてみました。

一応この話で"あなたの事が好きになったのかもしれません"はアフターストーリーも一区切りとなります。

今後は不定期で追加エピソードを書くかもしれませんが、その際はまたよろしくお願いいたします。

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