第3話 居酒屋で

読み返したら誤記が多数あったので修正しました。申し訳ありません(2020/5/1)

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「いや~仕事の後のビールは美味いねぇ~」

「ってなにをおっさんみたいなこと言ってるんだよ」

「あ~おっさんって言ったなぁ~ このナイスバディで可愛い可愛い小春さんをおっさんなんて酷すぎるぞぉ~」

「いや・・自分で言うなって・・・まぁ確かに・・・かもだけど」

「ん?何?きーこーえーなーいーーーー」

「いや、お前結構酔ってるだろ」


聞いてる方が恥ずかしくなるわ。

今、僕と大室は横川駅近くの居酒屋に来ている。

僕の歓迎会も兼ねてということで、最初のうちは佐々木編集長や吉岡さん、立崎さんも居たんだけど皆既婚者ということもあり1次会で帰ってしまった。

そして、大室と僕だけが残り2件目の居酒屋で2次会をはじめて今に至る感じだ。

まさか大室がこんなに酒癖悪いとは思わなかったけど・・・どうしたものか。


「ところでさぁ~ 渋沢君って彼女とかいないの~」

「な なんで?」

「だって毎日遅くまで残って仕事してるし、居るんなら彼女さん可哀相だなぁ~ってね。あ、余計なお世話だったかなぁ~」

「・・・・・振られたんだよ」

「え?」

「大学時代から付き合ってた彼女が居たんだけどこの間振られた。新しく好きな人が出来たって。僕は真面目過ぎてつまらなかったらしい・・・」

「そ その・・・ゴメン・・・」

「いや 知らなかったんだし僕のこと心配して聞いてくれたんだろ」

「うん。でも酷いね真面目なのが駄目だなんて。渋沢君は悪くないと思うけどな」

「いいんだよ・・・もう。

 僕は彼女の事が本当に好きだったけど彼女は他の人を選んだ。でもそれで彼女が幸せになるんならって思う様にしたんだ・・・未練が無いっていったら嘘になるけどね」


そう。偉そうに言ってるけどまだ当分は引きずっちゃいそうだけどね・・・


「そっか・・・偉いね渋沢君は」

「そんなことないよ。それにこれって有坂の受け売りだしね」

「有坂君?今でも連絡とったりしてるの?

 それに有坂君からってことは若菜ちゃんの件・・・だよね」


有坂・・・僕と大室の共通の友人だけど高校3年の時に当時付き合っていた彼女(若菜ちゃん)が浮気をした。結果有坂から別れを告げた形にはなったけど当時の有坂の落ち込み方は酷かったからな。

それに・・・浮気相手が僕や有坂の友人だったから余計に辛かった。


「ああ  会うのは年数回位だけどメッセージのやり取りとかは結構してるよ」

「そうなんだ・・・有坂君も若菜ちゃんが幸せになるんならって今でも思ってるのかな?許してあげる感じなのかな?」

「う~ん そのあたりは僕もあんまり突っ込まなかったから・・・飲みながらの話だったし有坂もあまり触れたくない話題だっただろうし・・・

 でもあいつ若菜ちゃんの事は本気だったからね。この間も一緒に飲みに行ったとき"僕がもっと若菜を大切にしていたら"とか愚痴ってたからね。許してるのかはわからないけどまだ引きずってはいると思うよ。まぁ大切云々は別として浮気をしていい理由にはならないと僕は思ってるけどね」

「そっか・・・そうだよね。うんゴメンね変な事聞いちゃって」

「いや いいけどもしかして大室って有坂の事が?」

「な、ば ばかなこと言わないでよ。私みたいなのがイケメン君の事を好きになるわけないじゃない」

「何だよイケメン君って♪ だいたいあいつは人の外見とか気にしないよ。それに僕は大室って結構可愛いと思うけどな」


大室の顔が酔いだけじゃないレベルで赤くなってきた。



「な 何言ってるのよ!可愛いとかからかわないでよ。本気にしちゃうぞ」

「ってさっきは自分で言ってただろ"可愛い可愛い小春ちゃん"って」

「あ あれは酔った勢いよ!い・き・お・い~!」

「わかったわかった"可愛い小春ちゃん"」

「うぅ~もうからかわないでよ!渋沢君こそ酔ってるんじゃないの!」

「・・・・・」

「ねぇちょっと聞いてるの渋沢君?」











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ん?何処だここ。

確か大室と居酒屋で2次会して、その後どうしたんだっけ?

それにこの部屋・・・僕の家じゃないのは確実だけど・・・ヌイグルミとかも置いてあるしインテリアの雰囲気とかも・・・・・もしかして女性の部屋?

何だか血の気が引くというか何かやらかしたんじゃないかという思いを抱きつつベッドを抜け出し色々と確かめた。


上着はハンガーに掛けられてるし鞄もその横に置いてある。

スマホや財布等の貴重品もちゃんとある。

ズボンのベルトは・・・外されてるけど一応ズボンは履いている。

ワイシャツもいくつかボタンは外されているけど着てはいる。

ベッドに寝かされていたから苦しくないように気を使ってくれたんだろう。

でも誰が?


とりあえず・・・と僕は部屋の扉をそっと開けて部屋を出てみた。


「・・・大室?」


部屋の外、リビングのソファで大室がタオルケットを掛けて気持ちよさそうに眠っていた。

Tシャツにショートパンツで寝ているのかタオルケットの隙間から見える肌色部分が・・・色々とやばい(自分でナイスバディとか言うだけはある・・・)

無防備過ぎるだろ・・・・・でもここは大室の家なのか?


部屋を見ると壁際の本棚には会社で出版したタウン誌や旅情報誌が並んでいた。そして、ラノベや漫画、ちょっと普通より薄めの本。

『大室って結構・・・アレなんだな』


小さめのダイニングテーブルの上には食べかけ?のカップ麺。

そして、高校の時にみんなで撮影した写真が飾られていた。

高校2年の夏休み。みんなでバーベキューに行った時の写真だな。

あの頃は有坂も若菜ちゃんも仲は良かったし、僕たちも皆高校生活を楽しんでいた。


楽しかったなあの頃。

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