アフターストーリー3 -お祝い-
<開成Side>
「開成と会うのは本当に久しぶりだな」
「だよな~お互い最近は忙しかったし」
2月も半ばになった頃。
僕は川野辺駅近くの居酒屋で大和と有坂に会っていた。
もちろん2人とも結婚式には招待しているけど式の前に個人的にお祝いをしたいということで声を掛けてくれたんだ。
最近忙しくて2人と会うのは久しぶりだ。
ちなみに同じような感じで小春も山下さんと大和の奥さん(栗平さん)に誘われて近くのお店でお祝いという名の女子会をしている。
有坂と大和は最初一緒にと考えていたらしいけど女子は女子で僕らにも言えない様な積もる話もあるらしく・・・何の話をされているかはちょっと怖いけどね。
「どう?仕事の調子は?この間新作のリリース案内出てたよな」
「お陰様で好評だよ。優秀なクリエーターも参加してくれたしな」
「はは 持ち上げすぎだぜ大和」
大和は学生時代にソフトウェア関連の会社を起業してたんだけど、事業も軌道に乗り昨年念願だったゲームソフトの開発と販売も開始した。
それに伴い社員も増やしたらしいんだけど、その中に有坂も居た。
大手のゲーム会社でSEとして活躍していた有坂を大和がスカウトしたんだ。
大手の安定した会社からの転職ということもあり有坂もだいぶ悩んだって言ってたけど山下さんも後押ししてくれたらしく、今は副社長として大和と二人三脚で企画に開発にと大活躍しているらしい。
正直ちょっと羨ましいよな。そういうのも。
「それより。いよいよだな。おめでとう開成」
「ありがとう大和」
「あぁ~あ。とうとう開成も大和のお仲間か・・・っていうかさ大室のこと待たせ過ぎだろお前。慎重なのはいいことだけど大室が可哀相だぞ」
「あ~それは僕も反省しているよ・・・」(流石に2年半は長かったかも)
「まったくだ大室も若菜に色々と相談してたみたいだぜ。
まぁ待たせた分ちゃんと大室の事は幸せにしてやるんだぞ」
う~そうか・・・いやそうだよな。
僕の前では普通にしてたけどやっぱり小春も気にしてたんだな。。。
あんまり付き合いが長すぎても婚期遅れるって言うし。
「あぁ肝に銘じとくよ。小春の事は絶対に幸せにする!」
「おっ言ったな開成!聞いたからな」
「開成。大丈夫とは思うけど大室と2人幸せにな!」
「ありがとう」
本当ありがとう。
2人と友達になれてよかったよ僕。
「よ~し。それじゃここから先は夫婦円満のコツをだな~」
「って大和。お前昔から嫁さんに頭上がらないじゃんかよ♪」
「そ そんなことないぞ。言うことは言ってるし。。。まぁそれ含めてだな」
「ははは♪」
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<小春Side>
「じゃ小春ちゃんの結婚を祝してカンパ~イ♪」
「「カンパ~イ!!」」
「ありがとうみんな♪」
今日は若菜ちゃんが私と開成君の結婚祝いをしてくれるということで商店街に最近出来たイタリアンバーで女子会を開いている。
川野辺の駅前も結構最近はお洒落な店も増えたんだよね。
参加は主催の若菜ちゃんと今では鶴間君の奥さんになった春姫、それにお店と子守は旦那の栗田君に任せてきたらしい瑞樹(栗田君悪いね♪)
高校卒業後もやり取りのある大切な友達だ。
「でも長かったよねぇ~」
「だよね~。付き合い始めからはまぁそれなりかもだけど、小春ちゃんって高校の頃から渋沢君の事が好きだったんでしょ?」
「そうそう。小春って結構わかりやすいと思うんだけど、渋沢君が鈍感でねぇ~
私も何だか見てて歯がゆくて・・・」
「・・・ははは」
まぁ確かに瑞樹は何度か"私がデートセッティングしてあげようか"とか言ってくれたんだよね。
でもあの頃は私も気持ちがはっきりしなかったし、もしあの頃の気持ちのままで付き合ってたら開成君と今みたいな関係にはなってなかったかもしれないよね。
「でさ、小春ちゃんは渋沢君に何てプロポーズされたの?」
「あ、それ私も聞きたいなぁ~」
「うん うん。何て言われたの!」
「・・・え~と・・・言わなきゃ駄目?」
何だか恥ずかしいんだけど・・・
「「ダ~メ!!」」
「はい・・・」
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<開成Side> -1時間後-
「でさ、僕はただ春姫の料理を"美味しいよ"って褒めただけなんだよ?
それなのに"大和は何作っても美味しいしか言ってくれない"って怒るんだぜ?
そりゃ春姫の料理が上手で何作っても美味しいんだから仕方ないじゃん。
どう思うよ開成」
「はは 仲いいんだね相変わらず・・・」
普段冷静な大和が・・・大和ってあんまり飲まないけど確かお酒は強くないんだよな大丈夫か?・・・それに絡み酒?なのかさっきから栗平さんの事しか話さないし・・・っていうかほとんど惚気だし。
と有坂の方に視線を送ると
「僕もさ本当は若菜と籍を入れたいんだ。プロポーズもしたしご両親にも挨拶はしてるんだけど、若菜がまだ過去の事を色々と気にしてて・・・僕はもう振り返らないことにしたし若菜との未来を一緒に進みたいんだよ!
な!そう思うよな!」
「う うん。僕もそう思うよ」
山下さん・・・だいぶ明るくなったとは思ってたけどまだ気にしてるのか・・・
でもここは有坂の言う通りだ。
過去は悔やんでももう戻らない。
自分の事を許せないのかもしれないけど、山下さんも十分苦しんだんだし
有坂が許したならもういいんじゃないかな。
にしても・・・有坂も結構飲んでるな。
思わず返事しちゃったけど壁に向かって話してるよこいつ・・・
何だか飲んでもあんまり変わらない自分が恨めしい・・・っていうか今日は僕の結婚祝いじゃなかったのか??
その後は帰るまで2人の話の聞き役と介抱を頑張ることとなった・・・結構長かったぞ2人とも。
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<開成Side> -さらに1時間後-
「よっ若菜お疲れ」
「忍君もお疲れ様♪」
それぞれでお祝いをしてもらった僕らは終電間際の川野辺の駅前にて合流した。
大和も有坂も結構酔っていたけど後半は僕が介抱してあげたこともありいつのまにやら復活していた。
2人共ちゃっかり最後はデザートのアイスとか頼んでたもんな。
思わず酔ったふりしてたんじゃないかって突っ込みたくなったよ。
「開成君♪どう楽しかった?」
「あぁ楽しかったよ・・・いろんな意味で」
「ん?どうしたの?何だか疲れてない?」
「あ あぁ大丈夫。後で聞かせてあげるよ。小春の方も楽しめた?」
「うん。メールとかはやり取りしてたけど実際に会って話できるとやっぱり楽しいね♪」
「そうだな。僕も楽しかったよ」
「あ、今日行ったお店ね。雰囲気も良いし料理も美味しかったよ。
今度一緒に行こうね」
「そうだね。楽しみだな」
と僕が小春と会話をしていると山下さん達が近づいてきた。
「何々デートの約束?」
「外は寒いけどお熱いですねぇ~」
「あの奥手の小春がねぇ~」
「ちょ、そ そんなんじゃないって!!」
小春もこの3人(特に幼馴染の栗田さん)には敵わなみたいだな。
と女性陣のやり取りを聞いていると栗田さんに話しかけられた。
「あ、渋沢君」
「ん?何?」
「小春の事・・・よろしくお願いします。
この子って辛いこととかあってもすぐ自分で抱え込んじゃうし、自分の事よりも周りの事とか凄く気にしてすぐ無理しちゃうんです。だから・・・」
「・・・瑞樹」
さっきまで小春たちとふざけ合ってた栗田さんが僕の目を見て真面目な顔で話しかけてきた。
小春もいい友達を持ったな。
「もちろんだよ。小春は僕が幸せにします」
「聞いちゃったからね渋沢君」
「うん。聞いた。言うねぇ渋沢君も」
「言ったからにはちゃんと大室さんを幸せにしろよ」
「幸せにな開成!」
「よろしくお願いします。渋沢君」
僕の横に居た小春が少し照れながら僕の手を握ってきた。
温かい手だ。
僕はその手を強く握り返した。
幸せになろうな小春。
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