第31話 出張?旅行?②
「うん。大体状況はわかったわ。
並木さんは今取り掛かってる対応を仕上げちゃおうか」
「はい!」
「渋沢君は私と休んでる吉野君と設楽さんが対応する予定だった校正と文書チェックやるわよ」
「了解!」
僕と小春は空いているデスクのパソコンを借りてそれぞれの仕事を始めた。
ノートパソコンは持ってきたけど大きいモニタで画面を見れるのは助かる。
こうやって小春と一緒に仕事をしていて急な案件とか対応しているとあらためて経験の差が出て来るなってしみじみ思う。
小春の指示は的確だし落ち着いて仕事を捌くし・・・悔しいけどまだまだ敵わないな。
「あ、開成君。3ページ目の特集記事のチェックもお願い」
「了解。5ページ目のお店紹介も先に見ておいた方がいいよね」
「あ、そうそう。そこも修正が入ると時間かかるから早めにチェックお願い」
紹介している地区は違うけど創刊号は小春が編集に関わったということもあり冊子の構成や内容は僕らが担当しているものと似ていたので、何となく勝手もわかり思ったよりも速いペースで仕事を進めることが出来た。
「ふ~ん そうなんだ」
と全体の構成チェックをしていた並木さんが僕と小春を見ながらつぶやいた。
「どうかしましたか?」
「あ、何でもないです。小春先輩って渋沢さんの事を開成君って呼んでるんだなぁ~って。それに息もぴったりな感じで。いいなぁ~って」
「「あっ」」
何となくいつもの感じで仕事しちゃってたから・・・小春も油断したかな。
「あ、いや・・・その」
「いいじゃないですか。お付き合いしてるんですもんね♪」
「え・・・うん」
「小春先輩 照れちゃって何だか可愛い♪
で、どっちから告白したんですか?やっぱり男らしく渋沢さんですか?それとも小春先輩?」
「な 並木さん。ほら早く仕事やらないと納期危ないんでしょ?」
「えぇ~ 先輩ちょっと休憩して一息入れましょうよ~♪お話聞きたいし~」
僕らの座るでデスクに身を乗り出す様にしながら小春に詰め寄る並木さん。
結構グイグイ来るな。
やっぱり女性はこういう恋バナ的なの好きなのか?
って納期ヤバいんじゃないのか?
「こら!並木!大室君が困ってるだろ。仕事しろ、し・ご・と!」
「あ、局長!会議終わるの早いですよ!」
と並木さんに声を掛けながら奥の会議室からがっちり体系の年配の男性と僕らより少し年上位の色白でちょっと病弱そうな男性が出てきた。
この人が田崎局長と鳴海さんかな?
「大室君。それに渋沢君だったね。忙しいところ悪いね。
平常時なら少しくらい人が少なくても何とかなるんだが、ちょうど納期前で僕も手が離せないしとにかく人手が欲しくてな」
「ご無沙汰しています田崎局長。気にしないでくださいよ。私達も色々お手伝い頂いたりしてるんですしお互い様です」
「そう言ってくれると助かる。渋沢君もよろしく頼むな」
「はい。少しでもお役に立てるよう頑張ります!」
「僕はまたこの後夕方まで外出しちゃうんだけど鳴海に今後の予定とか課題は伝えておいたから指示に従ってくれ。後、夕飯はご馳走するから楽しみにな!」
そう言って田崎局長は部屋を出ていった。色々忙しいんだろうな。
でも気さくで感じのいい人だな。
「あ、あの渋沢さん。初めまして鳴海と申します。今回はありがとうございます。本当人手が足りなくて・・・困ってたんです」
「初めまして渋沢開成です。大室も言ってましたけど気にしないで下さいよ。困ったときはお互い様です。それに僕はまだ出来ること少ないと思うのでどれくらいお役に立てるか・・・」
そうなんだよね。言われた事くらいは出来ると思うけど臨機応変に対応できるかって言うとまだまだだからな。
「大丈夫だよ。その辺は私がフォローするから。あ、鳴海君。この後の予定とか教えてくれるかな?一応並木さんに聞いて吉野君と設楽さんが対応予定だった業務は私と渋沢君で対応始めてたけど」
「助かります!流石大室さんは仕事が早いですね。取り急ぎは今の対応を継続でお願いします。僕は業者との調整行っているので何かあれば声掛けてください。ちなみに・・・今日中で終われそうですか?」
「う~ん。局長がご飯をご馳走してくれるって言ってたしそれまでには何とかしたいかな」
「ほんと助かります!」
その後、僕らは各々与えられた業務を行い気が付けば20:00過ぎ。
皆集中していたせいかいつの間にか結構遅い時間になっていた。
「鳴海君。一応私と渋沢君の予定していた対応は終わったよ」
「ありがとうございます!僕の方もあと少しで終わりです。並木の方はどう?」
「うん。私もあとちょっと」
良かった何とか予定の対応は終わりそうなんだな。
それにしても並木さんも鳴海さんも小春には頭が上がらないんだな。
途中色々と質問もしてたけど、立ち上げ時に小春が色々指導したって言ってたから指導長?先生?みたいな感じなのかな。
でも・・・ああやって真剣な顔で後輩の指導してる小春も何だかいいな♪
「ん?渋沢君どうかした?」
「あ、な なんでもない」
「ふふ 渋沢さんったら大室先輩見つめながらニヤニヤしちゃって♪ 仲いいですね~」
「並木さん! だ だからそういうのは」
「え?何々並木 渋沢さんってもしかして大室先輩と付き合ってるの?」
「そうなんですよ鳴海君。もうラブラブで♪」
「も もう!だから・・・」
「それでそれで!さっきの話の続きですけど・・・」
なとど並木さんの恋愛トークが再開されようとしたところで
「お待たせ~遅くなったな飯行くぞ!! ん?どうした?」
「は はい。行きましょう!もうお腹すいちゃって。ね!渋沢君」
「あ あぁ僕もお腹すきました」
何だか局長は毎回いいタイミングで登場するな。
なんてことも思いながら並木さんの仕事終わりを待って皆で近くのお好み焼き屋へ。顔なじみなのか個室に案内され親睦会ということで局長自らお好み焼きを焼いて振る舞ってくれた。
どうも焼き方にはこだわりがあるらしく自分で焼こうとした並木さんが叱られていた。ちょっと驚いたけど鳴海さん曰く並木さんも焼き方にこだわりがあるらしくてこのやり取りは毎度の事らしい。
そして、お酒を飲みながらの楽しい親睦会は続き・・・
「それで~ 大室先輩が告白したんですか~」
「もう!並木ちゃんもしつこいわねぇ~ いいわ教えちゃう!
開成君が"結婚を前提に付き合ってください"って観覧車で♡」
「わぁ素敵ですね~ いいなぁそういうの私も告白してもらいたいなぁ~」
さっきまであんなに恥ずかしがってたのに思いっきり告白の事話ししてるし
・・・
「おっ渋沢君も言うねぇ~ カッコいい~
でもまぁ 大室さんを射止めたんだからこれからも頑張ってくれよ!」
「は はい」
とかなりお酒を飲んだのか赤ら顔の田崎局長が僕の背中をバシバシ叩きながら話してきた。
そして局長も並木さん側にまわり小春と僕の恋愛ネタを肴に親睦会は続いた。
小春は適度に酔ってご機嫌な感じだけど・・・結構恥ずかしいぞこれ。
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