第32話 出張?旅行?③

う~ん・・・・

何だか頭が痛い・・・二日酔い?

今何時だ?


と僕は枕元のスマホを手に取る・・・5時。

まだ早いな。

眠いしもうひと眠り・・・・ってここ何処だ?


見慣れぬ天井と部屋。

少しずつ記憶が戻ってくる・・・・そうだ今大阪に居るんだよな。

確か・・・大阪支局で仕事して、親睦会を開いてもらってお酒をたくさん飲んで・・・小春が酔っ払って僕が介抱しながら宿泊先のホテルに・・・・


ん?小春は?

と思い横を見ると・・・気持ちよさそうに眠る小春が居た。


「!!!!!」


え~と。落ち着け僕。

何で小春と一緒のベッドで寝てるんだ?

確かシングルを2部屋予約したはず・・・ってこのベッド狭いしシングル?

どちらかの部屋で一緒に寝てた?

え~と・・・あれは小春のスーツケースだよな・・・ってことは小春の部屋?


などと色々頭の中が混乱した状態でいると


「う~ん」

「え?ちょ!」


小春が僕の事を抱き寄せてきた。

顔が胸に・・・

抱き枕とでも思ってるんだろうか?

最初の内こそ胸の感触が・・とか思っていたけど結構抱きしめる力が強くて息が・・・

村田さんにバスケ部の練習出る様に頼まれてから筋トレ再開したとか言ってたもんな・・・・・


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「・・・せいくん 開成君!」

「う~ん・・・小春?」

「良かった~ 何だか起きたら隣で開成君がグッタリしてるんだもん。驚いたよ」


あ、そうか確か小春に・・・って覚えてないんだよなやっぱり。


「でもさ?なんで開成君と一緒に寝てたの?この部屋私の泊ってる部屋だよね」

「いや・・・それは僕も聞きたいけど・・・昨日は酔ってたし・・・僕も・・」

「そんな!もしかして酔った私に・・・・」


「い いや そ そんなやましいことは何も!!」

「冗談だよ。親睦会で開成君に介抱してもらって部屋まで連れてきて貰ったのは覚えてるよ。ただ・・・その後は私も良く覚えてはいないんだけどね」

「え~と・・・」

「ふふ 開成君のことは信用してるよ♪それより支度して出社しないと遅刻だよ」

「え!ってもうこんな時間なのか。とりあえず僕も支度してくる」

「うん。じゃ朝食一緒に食べよ。1Fのレストランで」

「あぁ」


慌てて自分の部屋に戻った僕はとりあえずシャワーを浴び汗を流した。

なんだから初日から大変だったな。

でも・・・僕達恋人同士になったんだしそこまで慌てることなかったんだな。

などと今更ながらに思いながらレストランに向かった。


今回宿泊しているのは大阪支局近くの大手ビジネスホテル。

1Fにラウンジと宿泊客が朝食や夕食を食べることが出来るレストランを併設している。ネットの口コミを見た限り中々美味しい食事を出してくれるらしい。


小春は・・・まだ来てないかな?

レストランの入り口でウロウロしていると


「開成君。お待たせ!行こうか」

「そうだな時間もないし」


"朝食"を食べには来たけど結構いい時間なんだよね。

支局の始業は9:00なんだけど既に8:30。歩いて数分とはいえ今から食事と考えると結構ギリギリだ。


「んん~ この煮物美味しい」

「ほんとだ。小春こっちの玉子焼きも美味しいよ」

「焼き魚も中々いいね」


いや・・・時間ないはずなんだけどね。

ここ最近小春と色々なお店を食べ歩いていたせいか食べるのが楽しくて。

それに美味しそうに食事する小春も何だか可愛いんだよな。

本当美味しそうにというか幸せそうに食べるんだよな。


「小春!そろそろヤバい。ヘルプに来てるのに遅刻はまずいだろ」

「そうだね。何だか名残惜しいけど。またここの朝食は明日も食べられるもんね」

「あぁ明日はもう少し早く起きよう!」

「うん♪あ、そういえば今日のお昼は並木さんが美味しいお店を案内してくれるって言ってたから期待だよ!」

「ほぉ~」


朝食を食べながら昼食の話とかどれだけ食いしん坊なんだとか思いつつ期待してしまう僕もすっかり小春に染まっているよな。


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朝食後はそのまま大阪支局へ。

いい感じに信号にも捕まらず始業3分前で出社。本当ギリギリだった・・・


「おはようございます。今日もよろしくお願いします」

「あ、渋沢さんに大室先輩 おはようございます」


「・・・どうかしたの並木さん? 私たち見てニヤニヤしちゃって」

「そりゃもぅ~あれだけ大室先輩からノロケ話聞いちゃったらお2人を見る目も変わりますって・・・・」


途端に真っ赤になる小春。

っていうか昨日は確かに高校時代の話からたっぷり話してたよな。

聞いてる僕も結構恥ずかしかったもんな。まぁちょっと嬉しくもあったけど。


「あ あれはその・・・」

「いいじゃないですか仲がいいのは良いことです!ね局長」

「そうだな。私も久々に甘々な恋愛トーク聞けて楽しかったよ。いいねぇ若い子は。これからも渋沢君と仲良くな。ということで今日も頼むぞ!」

「は はい。。。その・・・頑張ります」


局長も並木さんも何だか楽しそうだ。

小春は照れまくってるけど楽しそうな職場だよな。


その後、落ち着きを取り戻した小春と一緒に昨日の続きの作業を行った。

相変わらず小春の仕事は早い。ついてくので精いっぱいだよ。

そして・・・


「大室先輩。そろそろお昼ですけど昨日話したお店行きますか?」

「あ、もうそんな時間なんだ。もちろん連れて行ってもらいますよ~♪

 地元の並木さんがお気に入りって言うんだから美味しいお店のはずだしね」

「そうそう。タウン誌書いてる並木さんお勧めなら絶対外れはない!」

「うっ先輩、渋沢さんハードル上げないで下さいよ。でも・・・絶対美味しいって言うと思いますよ」

「楽しみ~!」


ということで外出予定の局長を事務所に残し僕と小春は並木さんと一緒に昼食に出掛けた。

大阪支局から歩いて10分弱。並木さんお勧めのお店は駅とは反対側の民家や商店が並ぶ路地裏にあった。


「このお店です」

「へぇ~定食屋さんか~」

「はい。見た目は普通ですけど料理はどれも凄く美味しいんです」


外見だけ見ると昔ながらの定食屋というか・・・悪く言うと結構ボロい建物だった。ただ、並木さんの言う通り味は良いんだろうな。昼時ということもあるだろうけど結構行列が出来ている。ただ、混雑はしていたけど時間を少しずらして出てきたこともありそれ程並ばずに席に着くことが出来た。


「並木さんのお勧めは?」

「このお店どれも美味しいんですけど鯵フライと生姜焼きは絶品です!」

「じゃぁ注文は決まりだね♪」


夫婦で切り盛りしているのかカウンターから出てきた年配の女性に注文を伝え待つこと5分弱。揚げたての鯵フライが僕の前に配膳された。

僕が鰺フライを注文し小春が生姜焼きを頼んだ。もちろんシェアするためだ。


「美味しい!お肉柔らかいし、肉厚だし、味付けも丁度いい」

「うん。鯵フライも凄く身が肉厚だしサクサクに揚がってて美味しいよ」

「ねぇねぇ開成君、私にも少し頂戴!」

「あぁどうぞ。僕も生姜焼き少し貰えるかな?」

「もちろん!食べて食べて!」


「仲良くっていいなぁ~ あ~んとかはしないんですか?」

「え?」


あ・・・いつもの感じで食べあってたけど並木さんも居たんだった・・・

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