アフターストーリー8 -最近の2人②-

「可愛かったね五月ちゃん」

「そうだね」

「目元とか春姫にそっくりで♪」

「そうだね」

「・・・明日の晩御飯何にしようか」

「そうだね」

「ちょっとぉ~ ちゃんと話し聞いてよ開成君!」

「ご ごめん小春。ちょっと考え事していて」


みんなと別れての帰り道。

駅で大和達を見送った僕らは自宅へ向かって夜道を歩いていた。

疲れた体に夜風が心地いい。

・・・これは明日確実に筋肉痛だ。


「考え事って?相談にのるよ?」

「ありがとう・・・じゃぁ早速だけどさ小春。

 小春って子供好きだよな」

「え?うん。弟達も居るしね。開成君も好きでしょ?」

「僕?」

「うん。五月ちゃんを抱っこしてあげてるときとか凄く優しそうな目してたよ」


そっか。

自分じゃ気が付かないけどそんな目をしてたんだな。

確かに子供は好きなのかもしれない。


「なぁ僕たちも子供作るか?」

「ふぇ!?ど どうしたの急に前に子供はもう少し先にしようかって」


そうなんだよな。

結婚当時は僕も小春も若かったし、仕事も凄く楽しかったから2人で相談して子供はもう少し先にってことにしてたんだよな。

でも、あれから2年以上経つし、大和や栗平さん見てると・・・。


「五月ちゃん効果かな」

「五月ちゃん効果?」

「あぁ僕も小春に似た可愛い娘が欲しくなってきちゃって」

「ふふ。開成君に似たカッコいい男の子かもしれないよ♪」


そ そうか!僕に似ちゃう可能性もあるのか!

い いや、でも絶対に小春に似て快活で可愛い子に!!


「う~ 出来れば小春に似てた方が・・・僕に似ちゃうと冴えない子になっちゃいそうだし」

「そんなことないよ。でもきっと・・・どちらに似ても可愛い子が生まれて来るよ」

「そうだな」


子供が欲しいと思ってもすぐには出来ないかもしれない。

でも、早く会いたいな。


















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「おとうさ~ん 五月お姉ちゃんがお菓子くれた~」

「うん。ちゃんと"ありがとう"ってお礼言わなくちゃね」

「うん♪五月お姉ちゃんにお礼言ってくる~」


あの日から5年。

直ぐには子宝に恵まれなかったけど大和達に遅れること3年。

僕達にも待望も子供が生まれた。

僕の願いが通じたのか可愛い女の子だ。

名前は春香。

小春同様春先に生まれたということもあり小春から一文字取った形だ。

もうほんとうに可愛くて♪


母さん曰く"小春ちゃんに似た可愛い女の子でよかったね♪"ってことだけど(実の息子に言うことか。。。)、小春のお義父さんたちからは目元とか僕に似てるって言われたんだよな。

気を遣ってくれたのかもしれないけど僕に似てるって言われるとちょっと嬉しい。


僕も小春も30代半ば。

小春は産休で少し仕事を休んだものの、佐々木編集長が新しくできた編集部に異動となったことから復帰早々編集長に出世となっていた。

今じゃタウン誌だけじゃなく旅行雑誌などの情報誌も手掛けている。

そして、僕は小春を補佐する副編集長。

公私ともに小春とは二人三脚で頑張っている。


そして今日は大和や有坂達と毎月恒例の食事会。

僕らが談笑している中、5歳になった五月ちゃんは妹の弥生ちゃんと春香、それから有坂達の娘の菜月ちゃんの面倒を見てくれている。

ちなみに弥生ちゃんと春香、菜月ちゃんは同い年だ。


今は栗平さんに見守られながら4人でおままごとをしているみたいだ。

本当ついこの間まで僕や小春が抱っこしてあげてたのに・・・子供の成長は早いな。


「どうしたの開成君?」

「うん。子供の成長は早いなって思ってね」

「そうだね。でもまだまだこれからだよ~

 反抗期とかもあるだろうし"お父さんなんて嫌い!"とかそのうち言われちゃうかもよ」

「それ言われたらショックだな。。。僕寝込んじゃうかも」


「はは春香ちゃんなら大丈夫だろ。凄いお父さんっ子じゃないか」

「大和・・・だといいんだけどな~」


確かにあんな可愛い春香が"嫌い"なんて言わないだろうけど。


「でもそうだよな。僕もそんなこと言われたショックだよ」

「だよなぁ有坂」


わかってくれて嬉しいよ!


「大丈夫だよ。菜月がそんなこと言ったら私がちゃんと叱るから。

 それに・・・忍君には私が居るでしょ」

「そうだな若菜♡」


仲がいいな有坂達は・・・。

結婚して随分経ったはずだけど、何だか会うたびにバカップルぶりが増しているような気がするぞ。


「そ その・・・開成君にも私が居るから大丈夫だからね」

「え!? あぁ ありがと」


山下さんに対抗してるのか?

て 照れちゃうじゃないか・・・小春も顔赤くしてるし。

でも・・・これは僕たちも有坂達の事言えないな。


「相変わらずだなお前らは・・・まぁ仲が良いのは良い事だけどな」

「ふふ私達も負けてられないわね♡ 私も五月たちに弟欲しいなぁ~」

「おいおい春姫」


この2人も人の事は言えないだろ。

・・・本気で来年の今頃はもう一人増えているかもしれないな。


「何だか幸せな気分だね開成君」

「そうだな」


小春が居て、

春香が居て、

大切な友が居て、


本当、今僕は幸せだ。



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本作も継続して不定期更新いたしますが、本作の数年後のお話を別作品としてアップ予定です。

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