第17話 OG会①
とある平日の昼休み。
今日もまた大室お勧めの定食屋で昼ご飯を食べていた。
今日の昼食は生姜焼きランチ。
肉厚の生姜焼きに結構量があるのに価格は抑えめ。そして味はもちろん美味しい。大室の情報網凄いな。この店も要チェックだ。
と満足感に浸っているとアジフライ定食を完食した大室が話しかけてきた。
「今週末さ。川野辺高校でバスケ部のOG会があるんだ」
「OG会?」
「うん。毎年集まって後輩たちと試合してその後みんなで飲みに行くの」
「へぇ~楽しそうだね」
「でしょ♪良かったら渋沢君も遊びに来ない?」
「いやいや僕バスケ部じゃないし、それ以前に女じゃないし」
「あ、OGとは言ってるけど男女問わず友達連れてきてもいいんだよ。軽くバスケしてその後飲み会だから大丈夫♪」
「大丈夫じゃないだろ。多分女子率メチャクチャ高いんだろ?僕なんか行ったら場違いだよ」
「そ そんなこと無いよ。それに交友関係広げておけばタウン誌の役に立つかもしれないし」
「でもなぁ~」
「う~~」
「どうした?」
何だ急に赤い顔して・・・・
それにそんなに必死になる事なのか?
「正直に言うと今回来るOGの人って結構な率で彼氏さんと来るみたいなのよ。瑞樹も栗田君と来るみたいだし・・・
私彼氏いないし渋沢君には申し訳ないけど彼氏役で来てくれたら嬉しいなと・・・・」
なるほどそういう事か。
にしても大半のメンバーが彼氏持ちとか・・・当時もだけどバスケ部はリア充多いな(勝手な僕の偏見だけど)
「そういう事なら構わないけど、僕でいいのか?大室ならもっとカッコいい友達とか居そうだけど。
ほら文化祭で大室が参加したバンドのボーカルしてた人とかカッコよかったじゃん」
「え?来てくれるの!ありがとう! あ、あの人彼女いるし。そ それに私は・・・渋沢君"が"いいの!」
「そ そうか?僕でいいなら全然構わないけどさ・・・」
だから・・・そういういい方されちゃうと勘違いしちゃうって・・・・いいのか?
「じゃ今週末だけど昼過ぎに川野辺高校の校門前でお願いね」
「了解。服装ってどうすればいいんだ?」
「動きやすい普段着で大丈夫よ。軽くバスケするとは聞いてるけど基本OGだけのはずだし」
「え~と・・・僕はやらなくていいんだよね?バスケ素人だよ」
「・・・大丈夫・・・だと思う」
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そして週末。
僕達は高校の正門前で待ち合わせていた。
「大室せんぱ~い!!」
「あ、幸ちゃんじゃない。久しぶり!!」
「ご無沙汰してます。お元気でしたか?」
「うん元気元気! 幸ちゃんはお父さんの会社で働いてるんだっけ?」
「はい。今じゃ不動産会社のアイドル事務員ですよ。本当は建築現場で働きたくて重機の免許とかも取ったんですけどお父さんが許してくれなくて・・・・」
(なにそのアイドル事務員って・・・)
「そ そうなんだ。相変わらず元気そうね。あ、紹介するね。高校時代の同級生で友人の渋沢君。今日一緒に来てもらったんだ」
元気がいい後輩さんだな。見た目可愛いけどこの手のタイプは疲れそうだ。。。
「あの、渋沢です。初めまして。今日はよろしくね」
「あ、初めまして。こちらこそよろしくお願いします。大室先輩の1年後輩の相良幸です。ってし・ぶ・さ・わさん?」
「そうだけど。どうかしましたか?」
「あ~~!!渋沢さんって!!!じゃあ先輩ついに告白したんですね!!!!」
「告白?」
「あ~~幸ちゃん、それは秘密。言っちゃダメ。まだだから!!まだ!!!」
何やら後輩さんと大室が盛り上がってる。
何だ『告白』って?
「し 渋沢君も今の事は聞かなかったことにして。うん忘れて」
「え?あぁ」(なんだろう)
何やら校門前で騒いでしまったためか部活をしている生徒たちの注目を浴びてしまった。
結構恥ずかしいんだけど。
「小春。何騒いでんの?」
「あ、綾子先輩に福島先輩」
「お、渋沢君も来たのか。今日はよろしくな!」
「はい よろしくお願いします」
この2人は前に紹介してもらったし知った人がいるとちょっと安心だな。
でも、今更だけど何人位の人が来るんだ?
僕は皆で体育館へ向かう途中聞いてみた。
「今日って結構集まるんですか?」
「う~ん。良くて10人位じゃないかな。卒業して地元を離れた人も多いし土曜日休みじゃない人とかも居るからね。うちも今日はお父さんにお店頼んできたし」
「なるほど」
そういえば村田先輩の家も酒屋だもんな。
普段は土曜日も仕事か。
「でも、小春も渋沢君連れてきたってことは、渋沢君とそういう関係になったんだね♪」
「ち 違いますよ。先輩たちみたいにカップル率が高いから彼氏役を頼んだだけです!」
「照れるな照れるな。興味ない人に彼氏役頼まないでしょ」
「え、あ、あの・・・・」
「大室?」
「そういうわけだから小春の事頼むね。いい子だからさ」
「え?あ、はい・・・って えぇ?」
なにこれ?え?どういう事?
大室を見ると赤い顔して目をそらしてるし・・・・
勘違いしちゃっていいってこと?
その後、大室達は更衣室に行ってしまい僕は福島先輩と先に体育館へ。
体育館に入ると既に栗田が来ていて奥さんでOGでもある鮎川さんと楽し気にバスケをしていた。
「栗田!」
「あ。福島先輩ご無沙汰してます!・・・と渋沢?何で?」
ですよねぇ・・・・僕バスケ部じゃないし。
「大室に誘われてね。栗田達にもこの間のお礼言いたかったし」
「いや気にすんなよ。むしろお店の宣伝してもらったようなもんだしな」
そう。タウン誌初回のお店紹介は村田酒店と喫茶店ラウム。そして栗田夫妻経営のレストランフルールだったんだよね。
2人にも取材や写真など色々協力してもらった。
「でも、小春が渋沢を誘ったって事は・・・」
「だよね。という事はついに「だぁ~瑞樹!!ちょっと待ってその話駄目!!!」だ」
着替え終わった大室が走りこんで来て栗田(旧姓鮎川)の口を押えた。
何なんださっきから"告白"って・・・もしかして大室が僕に?
相変わらず大室は僕と視線を合わせないけど、OGも少しずつ集まってきて、今は、大室含めた卒業生OGチームと在校生チームで練習試合が行われている。
勿論僕は見学だけど、僕も知った顔も居たし大室も何だか生き生きとしている。
集まったOGは7名、大室、相良、藤原、村田、栗田(旧姓鮎川)、清水(旧姓浜野)、由良(旧姓吉見)
昔バーベキューに行ったときに会ったことがある人がほとんどで僕の事を覚えてくれてる人も結構いた。
そういえばさっき初めましてとか言っちゃったけど相良さんもバーベキューに居たのかな?
ただ、僕と大室を見てニヤニヤしてる人が多かったのは気になったけど・・・
それにしても栗田達含めまだ若いのに結婚した人も結構いるんだな。
香苗のこともあったし当分恋愛事は・・・とか思いながらも何処かやっぱり恋人とか結婚とか憧れる。
「福島先輩は、大室が言ってる"告白"って何のことか知ってるんですか?」
「ん?あぁ綾子に聞いて知ってるけど・・・こういうのは本人から聞いた方がいいかな」
「・・・ですよね。後で大室に聞いてみます」
「そうだな。それがいい」
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