斯くて俺は鬼に呪われた 美しくも哀しき鬼の姫子に
遥か昔、万象には《物の怪》が棲んでいた。人里の側に物の怪は息衝き、暮らしのかたわらに顕れ、時に愛され、時に畏れられた。されどもいつからか、物の怪はひとの側から姿を晦ませてしまい、《妖怪》といわれ、架空のものとして言い伝えられるのみとなった。物の怪がなにを想い、なにを愛したのか。ひとの記録には残されることもなく。
時は巡り、現代――――
みずからを呪われていると称する 不運な男子高校生《鬼童 妖‐キドウ アヤカ‐》は、墓参りからの帰りに嵐に遭い、奇妙な屋敷にたどり着いた。彼を迎えたのは真紅の襲を纏った、息を飲むほどに美しい少女だった。
彼女は《夜弥》と名乗った。艶やかに微笑む少女の額には、角があった。
「鬼童アヤカ、わらわがおそろしきか」
「おそろしくなんて、ねーよ」
アヤカは笑った。
「綺麗だからな、お前」
鬼の姫子と産まれつき赤い髪をした鬼紛いの人間風情が逢ったとき、滅びたはずの物の怪が現代に甦る。
昔はいまで、いまは昔。仏と物の怪、鬼を巡る戦いが、時を越えて幕をあげる。
不定期更新中
とりあえず、コンテスト終了までに完結させるつもりでおります