逢魔の瞳と人形少女/4-3

 七月一日、黄昏刻。――


 ――落下する意識の中、人形少女の躰は憑き動かされている。駆ける脚は、逃げるように、追うように。携えた刀は抜き身。異様な出で立ちで道を駆けながら、少女は誰の眼からも逃れている。

 己が意識、他者の認識の外を、ひた走る。

 其の様はさながら、一陣の風。

 ゆえに其処は何処にも非ず。一つところに止まらず。


 纏うは、死の気配。


 赤の瞳は、瞬かない。


 誰かですらなくなったソレは、人形の躰を駆っていた。

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妖月 -アヤカシヅキ- 四葉美亜 @miah_blacklily

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