逢魔の瞳と人形少女/4-1

 七月一日、黄昏刻。綾川病院の一室。


 不思議なひと。美優は、そう思った。

 ひとり残された病室で、彼女はやはり、動くこともままならない。無力だった。先程の女、白羽薫のことを、考える。

 ――君を助けるよう、君のお父さんに頼まれた者だ。

 静かに、眼を閉じた。

 ……父に。本当に? いつ? 助けるよう、なんて……

 小鳥。ネックレス。女。ネックレスの向こうに視えた景色。小鳥。ひとりごちる女。シラハネ、カオル……父……


 眼を閉じて考え事をする者の常として、神崎美優の意識は、夜に微睡んでゆく。

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