マリア・ガーネットとマルガリタ・アメジスト、天国を奪い取る。

作者 ピクルズジンジャー

73

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★★★ Excellent!!!

カドゥケウスの杖、というものがあります。ギリシャ神話の伝令の神、ヘルメスが持っている二匹の蛇が巻き付いた杖です。またはローマ神話の死者の導き手たるメルクリウスが手にしているともされます。

そして、メルクリウスが司る水銀との関係性から錬金術の象徴とも言われています。

この杖は「眠っている人を目覚めさせ、死せる人に用いれば生き返る」魔法の力があるそうです。

本作にも、象徴的なアイテムとして二匹の蛇が巻き付いた杖が登場します。

七年前の惨劇により未来を閉ざされ、死んではいないだけで正しい意味で自らの生をいきてはいないマリア・ガーネット。

悪辣な法が支配する街で、記憶を失った魔法少女であるマルガリタ・アメジストは傷つき、あらがい、賢しく、執念深く、生き汚く生き抜いていきます。
彼女が運命を跳ね除けて能動的に「天国」を掴み取りにいく姿は、まさにカドゥケウスの杖を持つ導き手であり、眠れる者を覚醒させる力強さを感じさせます。

★★★ Excellent!!!

醜悪な妖精に生き方を歪められた2人の少女が拙い逢瀬を繰り返す中で確かな愛を育んでいく様に強く惹かれました

独創的な世界で物語が展開されていきますが、読者を置いてきぼりにするようなことは無く読み進めていく内に一つ一つ謎が解き明かされていく構成になっています
明日を前向きに生きれる勇気をこの小説から貰いました



★★★ Excellent!!!

悪い妖精に捕まえられて、売春をさせられている少女たち。
彼女たちは記憶と人格を破壊された元・ウィッチガールたちでした。

この小説で描かれているのは、魔法少女モノというにはあまりに理不尽で、汚く、残酷な世界です。
しかし外の世界を知らない彼女たちはどこかのんびりと、けれどしたたかに日常を送っています。

決して綺麗じゃない魔法少女の裏側を描きつつも、この小説は彼女たちが真っ直ぐにぶつかり合い、ときには巧みに交渉し、力づくで我を通し、未来を掴み取ろうとする物語。
理不尽な世界だからこそ輝く彼女たちの愛はこの上なく美しく、奪い取った天国で燦燦と輝くでしょう。

それぞれに思惑を抱いた癖のあるキャラクター、読んでいて滞るところのない柔らかで巧みな筆致にはすぐに引き込まれます。どんどん緊張が高まっていくストーリーからは目が離せなくなり、一気に読んでしまいました。

マリア・ガーネットちゃんとマルガリタ・アメジストちゃんが末永く幸せに暮らせるよう願ってやみません。

★★★ Excellent!!!

みなさんはこの作品のタグを見て、どのような作品を連想しましたか?

「百合」と「アウトロー」は分かる。いいですよねアウトローな百合。
「百合」と「娼館」もまだ分かる。確かに変化球だけどなくはない。というか私は大好きです娼館の百合。
しかしここに「魔法少女」が入るだけで内容がまったく想像できなくなる。「百合」はともかく「アウトロー」と「娼館」で「魔法少女」?昨今剣呑な作風も多くなってる気がする魔法少女界隈ですが、さすがにこの組み合わせは異色。
どんな話か知りたすぎる。そんなあなたは是非どうぞ。

内容は「魔法少女の皮をかぶったマフィア抗争もの」にして「マフィア抗争ものの皮をかぶった正統派魔法少女もの」と言うべきものです。
悪い妖精の治める町で、記憶と人格を壊された魔法少女たちが売春させられ生きている…この描写を見たときは「ヤクザの話だこれ!」となりましたし、本当に魔法少女のお話なのか疑いもしました。
しかし、それでもこれは魔法少女のお話なのです。根性の腐った可愛い女の子が、格好良くて信仰深くて大切な女の子のために精一杯頑張っちゃうお話なのです。特に31話はまさに魔法少女の王道。譲れないもののために前に進む彼女は、紛れもなく魔法少女でした。

加えて、特筆すべきは軽妙かつ表現豊かな文章力。長めの文字数を全く感じさせない読みやすさで、しかしはっきりと情景や感情を伝えてくる描写はかなり実力を感じさせます。正直文字書きの端くれとしては嫉妬すら禁じ得ません。

百合で娼館でアウトローで、それでも確かに魔法少女なマリア・ガーネットとマルガリタ・アメジストが天国に至るまでのお話。是非ともご一読を。

★★★ Excellent!!!

七年前に住民が大量死し、悪い妖精に支配された砂漠の町。
記憶と人格を壊された元ウィッチガールたちが、娼館で客に奉仕する。
その一人、マルガリタ・アメジストは。
ホームで一番綺麗で強い、マリア・ガーネットと仲良くなりたくて。

連載で本作読了 → 
『異世界まではあと何㎞?  ~魔法少女逃走中~』 →
『実録 魔法少女焼死事件その真相』 →
『放課後のウィッチガール』
ときて、現在、本作2巡目中です。このシリーズ大好き。

娼妓として教育されているので口調は丁寧なんだけれど、
考えてる内容は欲望に忠実で生き汚いマルガリタ・アメジスト可愛い。
マリア・ガーネットが彼女を評する「根性腐ってる」って言葉が
ハマり過ぎて、他の表現を思いつきません。

敵対勢力のウィッチガールが敵対的なのは当たり前ですが。
同じホームに12人も女の子がいたら、全員と仲良いわけがなくて。
そういう、別に敵じゃないんだけど意地悪なグループ。
みたいな女の子同士の関係の描写がとても上手だと思います。

七年前、何が起きて、どうしてこの町ができたのか。
マリア・ガーネットの過去に何があったのか。
次第に明かされていく秘密に、連載中は早く先を知りたくて待ち遠しかったです。
長い作品ですが、読み始めたら長さは気にならないはず。
設定が設定だけに少女の性描写や暴力描写、残酷描写がありますが。
そういうの大丈夫な方にはオススメです。