概要
人間のあらゆる行動が小型チップ「P−SIM」に記録されるようになった情報管理社会において、感情を持つ高性能AIを搭載したヒューマノイドが誕生した。
その名も、「藤沢ユウ」。
警視庁サイバー犯罪対策課とともにテロ組織〈バスティーユの象〉を追う彼女は、あることがきっかけで私立高校「宝星学園」に潜入することに。
次第に明かされていくテロ組織とそのリーダーの正体。同時に彼女はある疑問を抱く。
感情は搭載されているのに、なぜそう感じるのか分からない。自分は一体何者なのか──と。
AIの一人称で描く、ハイスピードサイバーミステリ×ボーイミーツガール。
★第3回カクヨムWeb小説コンテストの読者選考通過しました。応援いただいた皆様、ありがとうございました!
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- ★★★ Excellent!!!機械仕掛けの少女による、美しくも儚いミステリー……
ヒューマノイドの少女と、その周囲が繰り広げるSFミステリー。
過去と現実が交錯していく展開、積もりに積もる数々のミステリー、そしてそれらが最後に向かうごとに、少しずつ収束していく。
作者様の手腕も手伝って、それが一つ一つ噛み締める思いがしてきます。それで徐々に謎が解けていく瞬間が、何とも心地よい感触を思うかのようでした。
そして重要なのはヒューマノイドの主人公。彼女の活躍、葛藤、そして想いが、このドラマをさらにエスカレートさせてくれる。最初はヒューマノイドであるという設定に奇妙さを覚えましたが、まさにこれしかないのだと実感するようになります。
こんなミステリーに出会えて本当に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「学習」を重ねるほどに優しくなれる高性能な無邪気が、人間の業と罪を暴く
AIに感情があるのか?
機械に命があるのか?
そういう問いに対して、私は「あるんじゃないかな」と思っている。
その感情の形、命の在り方が人間と同じである必要は多分ないから。
ヒューマノイドはきっと、AIだからこその感情で以て人間と関わり、
機械ならではの姿を通して相対的に、人間の命の形を顕在化させる。
……などということをつらつら思いながら『404の私』を拝読した。
主人公ユウは、高度な「強いAI」を搭載した少女の姿のロボットで、
ひょんなことから警察にスカウトされ、テロ対策に協力している。
とある学園への潜入捜査を通じ、ユウは己の正体に気付き始める。
「P-SIM」によって個人情報の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!愛を持ったAIの疾走感あふれるサイバーパンク
世界は近未来。
サイバー犯罪対策課vsテロ組織。
亡くなった少女の記憶。
徐々に明らかになっていく真実。
スピード感満載のクライマックス。
そんな魅力的な世界が、
"AIの一人称"
によって紡ぎ出されます。
えっ、AIってあのAIですか?
そう、あのAIです。人工知能です。
それ、物語として大丈夫なんですか?
はい、大丈夫です。それどころか、とても面白いです。
とまあ、感情を持ったAIという、書くのが難しそうなキャラクターを主人公としながらも、そのリーダビリティの高さは圧巻でした。すごい……。
SFとしてはもちろん、ミステリーとしても完成度が高いです。
ユウが追うのは、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!404――未検出のデータが再生された時、過去と事件の真相が明かされる!
ヒューマイノド(つまりロボット)を主人公にした近未来ミステリー。
物語はヒューマイノドであるユウの一人称で進んでいく。一人称を、感情の無いロボットに任せて、はたして読者は感情移入できるのかと思いつつも、冒頭からテンポよく事件がはじまり、そして、突然に再生される404のファイル――それを読めば、なるほど、どうしてユウが主人公なのか納得できる展開が待っている!
「バスティーユの象」と呼ばれるテロ組織を追う中で浮かび上がる、404ファルイが再生する、とある女性の過去。それらは彼女が通っていた学校の生徒へと繋がり、そして「バスティーユの象」にも繋がっていく。宗教団体、家族、イジメ、自殺、友達、恋…続きを読む - ★★★ Excellent!!!謎を解く鍵は、感情。
感情というのは至極曖昧なものだ。なぜ自分がそのように思うのか、明確な理由付けをするのは難しい。時には自分自身でもなぜそのように思ったのか理解できないことすらあるだろう。
人間は成長する過程で様々な経験をし、それを記憶し学習し、個の人格を獲得する。そうして自我が、感情が育ってゆく。しかしながらごく一部の例外を除いて私たちはその過去の経験を忘却していく。
この感情には必ず由来があるのに、それを認識できない。自分自身を構成する重要な因子でありながら、どうしてもそれを見つけ出すことができない――。
ヒロインの藤沢ユウはあらすじにもある通り人間ではなくヒューマノイド、簡単に言えばロボットだ。
しかし…続きを読む