アキラとアルファの出会いを起点に動き出す物語の歯車が、登場人物たちに容赦なく波及していく。
それはまるで、ビリヤードの玉を打つかのように。
ぶつかり、弾かれ、跳ね返る、その軌跡は読めず。
予期せぬ方向へと転がり、また衝突し、そして――落ちる。
幸運と不運。意志と覚悟。望みと願い。
各々の思惑や願望が交錯し、それを嘲笑うかのように策謀がめぐる。
息つく間もなく展開していくストーリー。
読み返すたびに理解が研ぎ澄まされていく精緻な構成は、まさに圧巻の一言。
行を追うごとに世界の解像度は上がり、物語の奧部へと、さらに深く踏みこんでいく。
まさしく、「退屈な人生を遠ざけ、彩りを添えて」くれる最高の作品です。
SFは普段あまり読まないジャンルでしたが、本作に出会ってからというもの、
Web版も書籍もコミカライズも何度も読み返し、オーディブルでも楽しみ、考察を重ね……
それでもなお、新刊が待ち遠しい日々を過ごしています。
この作品に出会えたことで、自分もSFを書いてみたいとさえ思わされました。
趣味を超えて、人生の一部になるくらい面白い小説です。
これほどまでに強く、深く惹き込まれる物語に出会えた奇跡に、そしてその世界を描いてくださった作者様に──心からの敬意と感謝をこめて。
戦闘シーンがこれでもか!と続くが、緊張感、絶望感の中でも諦めない主人公アキラと、アルファの掛け合いが良いです。
普通ならここまでするの?という窮地に次ぐ窮地なのですが、不自然さも無く、全く飽きさせないスピード感があり、アニメでもこの面白さを再現するのは、難しいのではないか?と感じさせます。
戦闘以外のシーンでも、アキラ独特の価値観に基づく行動が、余計なトラブルを生み、また意外な幸運を呼び寄せます。
主人公アキラは、コンビニに行くように、気軽に殺人が起こる社会の中で揉まれ、自身も殺し過ぎて殺されるタイプなのですが、決して自身の利益の為に殺人は行わない独特の世界観を持ち、ただ自身の価値観の為だけに平気で命を賭けます。
善人ではないけど、悪人と呼ぶには余りにも純粋な人間であり、そこが非常に魅力的に感じられます。
ここまで続きが読みたい小説は中々無いですね。
書籍版は途中から全く違う話になっていますが、そちらも非常に面白いです。
寧ろ勢いで書かれたWeb版よりも、良く練られていると感じられます。
是非、小説版も読んでいただきたいです。
今後も楽しみにしております。