概要
公園に留まる亡霊が生み出した呪いのアイテム『呪物』
『霊に触れる事の出来る軍手』を手放せない殺し屋。
『絵や写真に捉えられた人物を殺傷出来る万年筆』を拾った女子高生。
『呪いの言葉がメールで送られて来るガラパゴス携帯』の主となった心霊実況配信者。
『誰からも愛されず命を絶った女性の念が宿ったラブドール』に愛情を注ぐ無職男性。
『他人の記憶を読み取り外見までもコピーする力を持つ狐の面』に魅入られたエリート会社員。
不運にも呪物を手にしてしまい、翻弄される者達。
呪いに導かれる様に公園へと集う彼らの末路は……。
呪物公園特設サイト→http://www.eonet.ne.jp/~jyubutukouen/
※特設サイトに本編は公開しておりません。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!引き込まれる作品です
ホラーというと、単に怖さを追及した作品が多いのですが、この作品はそれだけではありません。
この小説には、さまざまな個性的な人物が登場します。
登場人物は個性的ではありますが、私たちにも共感できる部分がたくさんあると思います。
だからといって、恐怖的な要素が薄まっているかというとそうではなく、
私たちの日常にも、そういう恐ろしいことが起こるのではないかという、身近な恐怖を感じてしまいます。
怖いながらも読み進めるごとに物語に引き込まれてしまう、そういう魅力がこの小説にはあると思います。
、
この物語のなかでは、呪物というものが中心となっていますので、私はこの呪物を意…続きを読む - ★★★ Excellent!!!点が繋がり線となり、やがて一つの形を結ぶ――呪物に誘われた者の果ては?
亡霊が生み出した曰く付きの品『呪物』を巡る群像劇から、物語はスタートします。
一つ一つの呪物がそれに関わる者達を大きく翻弄する、オムニバス形式で綴られる物語はどれもぞっとするほど恐ろしく、自分の身近にあるものももしかしたら……と考えて、トイレに行くどころか身動きするのも怖くなってしまいました。
しかし、恐怖は呪物単体に留まりません。
これらの群像劇は物語の前夜祭にすぎず、全てのエピソードが一つに収束するのです。
後半はもう、先の見えない恐怖、亡者に襲われる恐怖、欲望に囚われた人間の恐怖と、様々な恐怖のオンパレード!
一話読むたびに心が削られ、もしや自分自身も『読む』という行為で呪物に触…続きを読む - ★★★ Excellent!!!助けて!『トイレ行けなくて困った』のレビューに戦慄! 読んで二度戦慄!
スクリーンの幕が上がる。すると、そこに広がるのは毒々しいまでに赤く染まった夕空。視線を落とせば、どこででも見かける平凡な街並みが、今にも闇に呑み込まれそうに沈み、佇んでいる。
たとえば、そんな印象的なシーンではじまる映画を見るような気持ちで、読者は作品世界に誘われていきます。
自分の隣にもいそうな普通の人たちが、『呪物』を手にしたことによって、ある日突然放り込まれる生と死の狭間。死に引きずりこまれるか、生をつかみ取れるか。いくら抵抗しても、読者は当たり前のように彼らの恐怖に自分を重ねてしまう。
前半は、さながら壁に浮き出た染みのごとく。黒く不吉なそれが少しずつ人の形になっていく様…続きを読む - ★★★ Excellent!!!呪物に囚われたが最後。夕焼け色に染まる世界から、きっと逃げ出せなくなる
私はあまりホラーやオカルトに興味のない人間です。
幽霊や怨霊なんて実体のないものより、生きた人間の方がよほど怖いと思うから。
お話はオムニバス形式で進行します。
『呪物』という、恐ろしい力を宿したアイテムを手にする登場人物たち。
それぞれ、劣等感や虚栄心、抱えきれない欲望など心の闇に端を発して、呪物の力に取り込まれるように人生を狂わされていきます。
すぐに、夜遅くに読み始めたことを後悔しました。
怖すぎる。
目に視える風景だけでなく、匂いや音など五感に訴えかける心理描写が巧みで、作中の現象がまるで我が身に起きたことであるかのように感じました。
特に『ガラパゴス携帯』の話は背筋が凍るほど恐…続きを読む