本作品はホラーであるが、今のところ怪奇現象は少なめである。
どちらかというと人怖系、サイコホラーである。
そして物語は冒頭から不穏さ全開で始まり、それがむしろ潔い。
そもそも文学というか小説は、人の昏い部分に焦点を当てるものなので、心の闇という陳腐な表現しかできなくて申し訳ないが、その闇への振り切り方というか切り込み方が躊躇が無くとても良い。
私は読み専なので作家の方々の気持ちというのは本当の意味で理解できないと思うし、ホラーという題材なので、あえて、という面もあると思うが、こちらを書かれていて病んだりしないだろうかと心配になるくらいだ。
更に他のレビュワー様が仰っているが、展開が面白いのと書く人にとっても参考になる点が多いというのは正にその通りではないかと思う。
兎に角、なかなか癖のある魅力的な人物等が登場するので期待してお読み頂きたい。
色々書いたが、有り体に言えば私はこちらの作品にハマってしまった訳で、登場人物達が放つ闇と今後の展開から目が離せないのである。
幼いころから他者を蹴落とし、ズルをしてでも自分がちやほやされることだけを望んできた春絵。
彼女は意外にも身の丈にあった結婚をし、一女を設け、平凡ながらも幸せな家庭を築いたかに見えたが――?
自分が愛されている・満たされていると思えばおだやかでいられるが、
それを得られないと途端に他者に牙をむく、いわば自己価値を認められない困ったちゃんが主人公。
序盤では彼女の悪行がこれでもかと描き出されます。
これほど、主人公が「ざまぁ」されてほしいと思える小説も珍しい!
そんな主人公をばっさりと切り、真実を突き付けるのが、タイトルにもなっている「阿修羅ちゃん」。
猫耳パーカーの美少年で、職業は占い師というか、スピリチュアルカウンセラー的な何か。
しかし彼の言葉が春絵の心に届くはずもなく、セッション代を踏み倒して去って行きます。
春絵に降りかかる不幸とは!?
ゆっくりとのぼってゆくジェットコースターが落ちるのを今か今かと、手に汗握りながら読む感覚がクセになります!
現在3万5千字ほど読んだ感じだと、ホラーといっても「ヒトコワ」タイプのような気がします。
ですので血みどろ系ホラーが苦手と言う方もぜひ読んでみてください!