次に■■されるのは、あなた
- ★★★ Excellent!!!
主人公の春絵は自身の女としての価値を他人と比較し、マウントをとることでしか満たされないどうしようもない女性。
彼女は不倫相手に愛想をつかされ、相手の妻を精神的に追い込んでも彼が靡かないことを知ると、次に宛てがわれた別の男で妥協して結婚しようか悩みます。悪業の数え役満です。
そんな折に、春絵は不思議な占い師の噂を耳にして、謎の猫耳パーカーの少年・アスラと出会います。
彼の何もかもを見通すような物言いは、失礼を通り越してもはや小気味いい。
アスラの正体もまた、予想の斜め上を行くものでした。ぜひ読んで確かめてほしいと思います。
作品を通して春絵への因果応報が描かれるのかとそわそわしていたら、遙か昔に生じた怪異の根っこのようなものとの繋がりが明かされたり、詳細は書きませんが巧妙に張られた伏線が思いもよらない形で回収されたりと、終始作者の掌の上で転がされました。
本当に悪い奴は誰だろうか、と読みながら考えていましたが、そもそも「悪い人」の概念が揺らぐ程にモラルが死んだ人が沢山登場しますので、それを特定しようとするのも野暮な気がします。
誰が誰を呪い、そのツケは誰に背負わされるのか。
最後に生き残るのは誰なのか。
恐らく誰も予想できないラストになっています。
さああなたも、本作を読んで転がってください。