流星の日から人が変わってしまったお嬢様と、ポンコツと呼ばれるメイドの物語。
人を拒むようになってしまったグレイスフィールと、前世に気付いた主人公と。二人の心の交流と、そこから広がっていくほかの人々との交流、そして変化が丁寧に描かれている。
そして明かされていく世界のこと。物語の筋書きのこと。
前世にある意味では振り回され、助けられ、そして最後には良い方向へと向かっていく。
これぞまさに大団円と言える作品ではないだろうか。けれどめでたしめでたしで終わっているが、続きも読みたいと思う作品でした。
お嬢様とメイドと、変わりゆく関係と心を見ていただきたいです。ぜひご一読ください。
ハウスメイドのイーディスは『金皿10枚』と呼ばれるポンコツメイド。
しかし、英雄の流星が降る夜をきっかけにして、前世の記憶を思い出す。
本作の魅力は、前世の記憶を使って何ごとかを成し遂げようとするところではなく、誰かと心を通わせるために、ひたむきに行動するイーディスの姿にあるかと思います。
イーディスが前世の記憶を取り戻すと共に、人が変わったように狂乱するグレイスフィールを、なんとか理解し、手助けしようとする姿が、読者の心を揺さぶります。
そして、次第に氷解していくグレイスフィールの心と、彼女の口から明らかになる世界の真実が、イーディスの人生の向かう先を決める――。
第1話と第20話とでは、二人の関係も、屋敷内での立場も変わっています。
ささやかな変化かもしれませんが、それは二人のこれからの行く末を動かす、大きな一歩なのかもしれません。
是非、続きを読みたいと思える作品でした。
ハウスメイドのイ―ディスが仕える館の令嬢は幽霊令嬢と呼ばれている。屋敷の中でもほんの一握りの人間しか彼女の姿を見たことがないのだ。
そんな二人は、お互いの誕生日の夜に、一緒に流星を見上げた。
この流星の意味することが、物語のラストに煌きを放っている。
健気で一生懸命なイーディスが読んでいてとても好感が持てます。応援せずにはいられない主人公です!「やると決めたら、やるしかないのよ、イーディス!」このフレーズが彼女の性格を如実に表していて、大好きです。ひたむきなイーディスに感化され徐々に心を開いていくグレイスも素敵でした。
そして、二人の前世がこの新しい世界で重なった奇跡にひたすらに感動。上質な異世界転生です。
今日もまた流星が降るのかもしれない。その人がなすべきことをなすために。
ぜひ、この物語のラストを見届けてほしい。お掃除のお時間ですよ、お嬢様!