概要
不倫地獄は怪異の坩堝。二つの家庭を阿修羅断つ…生存ネームドはたった一名
「だって憑いてきてるもん。旦那さん。幽霊なりたて、ほやほやの姿で」
夫の死を告げた春絵に対し、アスラは言い放った。
「だからぼく最初に言ったじゃない。あの男との結婚は碌な結末を迎えないって」
ある一人の男の死を引き金として、その「ありふれた」二つの家庭は崩壊し地獄の様相を呈してゆく。その根底には一つの怪現象が横たわっており、やがてアスラは「おてんとうさま」という存在を信仰対象とする奇妙な新新興宗教に行き着くのだが……。
廃れたバーの片隅で、猫耳パーカーの少年は、今日も日常にひそむ地獄の相談を受け付ける。
お代は結果が出てからの後払いで結構。助言を聞くか聞かぬかもお客様の自由。ただし、支払いをケチるとその後どうなるかは――さぁて、仕上げを御覧じろ。
「因業因果は巡るもの。今世の不始末解消不足
夫の死を告げた春絵に対し、アスラは言い放った。
「だからぼく最初に言ったじゃない。あの男との結婚は碌な結末を迎えないって」
ある一人の男の死を引き金として、その「ありふれた」二つの家庭は崩壊し地獄の様相を呈してゆく。その根底には一つの怪現象が横たわっており、やがてアスラは「おてんとうさま」という存在を信仰対象とする奇妙な新新興宗教に行き着くのだが……。
廃れたバーの片隅で、猫耳パーカーの少年は、今日も日常にひそむ地獄の相談を受け付ける。
お代は結果が出てからの後払いで結構。助言を聞くか聞かぬかもお客様の自由。ただし、支払いをケチるとその後どうなるかは――さぁて、仕上げを御覧じろ。
「因業因果は巡るもの。今世の不始末解消不足
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!湧き出る漆黒の闇から目を逸らすことができない
本作品はホラーであるが、今のところ怪奇現象は少なめである。
どちらかというと人怖系、サイコホラーである。
そして物語は冒頭から不穏さ全開で始まり、それがむしろ潔い。
そもそも文学というか小説は、人の昏い部分に焦点を当てるものなので、心の闇という陳腐な表現しかできなくて申し訳ないが、その闇への振り切り方というか切り込み方が躊躇が無くとても良い。
私は読み専なので作家の方々の気持ちというのは本当の意味で理解できないと思うし、ホラーという題材なので、あえて、という面もあると思うが、こちらを書かれていて病んだりしないだろうかと心配になるくらいだ。
更に他のレビュワー様が仰っているが、展開が面白いのと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!己をかえりみることのできない者に降りかかる悲劇とは
幼いころから他者を蹴落とし、ズルをしてでも自分がちやほやされることだけを望んできた春絵。
彼女は意外にも身の丈にあった結婚をし、一女を設け、平凡ながらも幸せな家庭を築いたかに見えたが――?
自分が愛されている・満たされていると思えばおだやかでいられるが、
それを得られないと途端に他者に牙をむく、いわば自己価値を認められない困ったちゃんが主人公。
序盤では彼女の悪行がこれでもかと描き出されます。
これほど、主人公が「ざまぁ」されてほしいと思える小説も珍しい!
そんな主人公をばっさりと切り、真実を突き付けるのが、タイトルにもなっている「阿修羅ちゃん」。
猫耳パーカーの美少年で、職業は占い師…続きを読む