綾織りの恋心は、解けない絆を育んでいく

冒頭の「指を編む/編まれる」シーンで一気に引き込まれました。

普段は無愛想な彼が無意識片恋相手の指を編む……という恐らく唯一無二の関係がこれほど甘美で、焦れさせるとは思いませんでした。自分の中の新たな扉が開いた感覚です。

翠子さんの優しい語りで、無力感に苛まれる日も悲しい過去に触れた日も温かく伝わってくるのが良きですね……作者さんの穏やかな筆致が最も映える地の文で、読みやすかったです。

二人の恋を草陰から大人しく見つめていたいけれど、翠子さんには早く颯くんの想いに気付いていただきたいという相反する気持ちが拮抗しています。

とにかく物語の後も、二人には幸せになってほしい……どういう形であれ、応援し続けたいと思います。
素敵な物語をありがとうございました。
続編も楽しみに読み進めたいと思います。

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