物語は主人公の翠子さんの指がほどけるようになってしまう怪異から始まる。これだけで怪異好きはぐっと惹き込まれる。視点は途中途中変わるが、特に翠子さん視点で語られる丁寧語の文章が、翠子さんの人柄を表すように、丁寧で、穏やかで、ひたむきだ。語られる情景が目に見えるようで、時に美しく、時に恐ろしい。一人称に馴染みがない読者は是非、最後まで読んでみて欲しい。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(354文字)
国直轄の特務機関「対怪異浄化情報収集室」。ひょんなことから、その組織で働くことになった梅小路翠子さんを中心に、ぶっきらぼうな先輩上司の烏丸颯君、「見えない側」の人であるにも関わらず「怪異」大好物な勧…続きを読む
北陸の旧家、梅小路家の一人娘、翠子さんは祖母が亡くなった冬のとある日、ふと自分の左足の小指が「ほどけて」いることに気づきます。日を追うごとに、次は右足の小指が、そして次は左手の小指が……。 そ…続きを読む
ある日、自分の小指がほどけてしまった――。そんな不可解な現象が起きた翠子さんのもとに、ある日特別なものしか入れない『対怪異浄化情報収集室』の職員がやってきました。「これはあなたじゃなくて、あ…続きを読む
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