お祓いの見習い頑張る主人公 激鈍彼女に恋する彼と

  • ★★★ Excellent!!!

 作者さまの趣味てんこ盛りで書かれたというこの作品。見事そのアンテナに引っかかり、私の「好き!」もぎっしり詰め込まれておりました。とても楽しい!

 呪や怨念がこもってしまった怪異を浄化、祓うことを生業とする人たちが集まる『浄化室』を舞台とした現代ファンタジー。主人公翠子さんの落ち着いた語り口を中心に、他視点を交えながらの展開もスピーディーで、心地よい筆致の作品です。
 翠子さんの「指がほどけていく」という、衝撃的な出来事から物語は始まります。「指が、ほどける?え、大丈夫?」ってなるんですが、はい大丈夫です(ひとまずは)。ちゃんとほどけた指を編んでくれる人がいるんですね。それが年下上司の颯くん!
 キャッチコピーにある『不器用な恋』のお相手というかご本人というかの颯くん、私はこの人がツボすぎて大好きになってしまいまして。たまに残したコメントはほぼ彼のことを叫んでいるだけだった。作者さま本当にすみません。反省。

 浄化室の仲間たちと一緒に怪異の祓い・浄化へ立ち向かう翠子さん。一生懸命で、だけど悩みや葛藤も抱え少し危なっかしさもありながらも成長していく姿を見せてくれ、お仕事小説としても楽しめるのではないかと思います。
 完結ではあるものの、ほどけてしまう指先の呪いや、ふたりの恋の行方、個性的な浄化室の面々には掘り下げエピソードなどもありそう(たぶん?)。続編を期待してしまう面白さです!

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