鋏池穏美

翡翠川の上流に消えた郷があるという。かつて人々が暮らしたその場所は時の彼方に埋もれ、今では地図にすら載っていない。けれども立夏のひとつ前の十六夜の夜、そこでは「二度と会えない人にも…続きを読む

濃密な情感が悲哀と歓喜を奏で、読み手を物語へと引き込んでいく。 この物語には二つのセレナーデがあるように思う。 作中で謳われる春を告げる恋人たちの歌声と、作品全体から響くかのような…続きを読む

美しい情景描写とリアリティのある心理描写。 日常の延長にあるはずの世界が、いつの間にか不気味な異界へと滑り込んでいく感覚。 パレットの上の絵の具のように、現実と非現実が混ざり合…続きを読む

立った鳥肌がぞわぞわと残る、薄気味の悪いいくつかの物語。 語られるのは怪異譚ですが……、 どこか有り得そうなお話で、背筋が寒くなる思いにかられます。 七つの物語が語られた後、迎…続きを読む

御神木を軸として、凄惨な光景や淫靡な描写が次々と迫ってくる。 次第に明かされていく年表のギミックや、魅力的な登場人物などが読む手を止めさせてくれません。 怪異的な怖さや人間の闇など…続きを読む

冤罪で死刑となった主人公、村雲雄姿郎。 違うんだ、俺じゃないと叫びながら死んだはず── が、生きていた。生かされた。 胸に去来するのは復讐。親友の安否。 圧倒的な暴力と蠢く闇。 …続きを読む

絡み付くような人間の悍ましく厭な部分。 それらが徐々に寄り集まって行くようなストーリー展開に、背筋がぞくりとします。 おとずれた閉鎖空間での惨劇や、そこへ至る因業。 とても面白か…続きを読む

プレイ済みのゲームの世界、悪役貴族への転生。記憶を武器にバッドエンドを回避したはずが…… 登場キャラクターが魅力的で、ぐいぐい物語の中に引き込まれます。 交わることのなかったはず…続きを読む

レビュータイトルにもある通り、とても難しいテーマを全力で走り抜け、描かれたのは狂気的な純愛。 といっても、狂気的と感じるのは受け取るこちら側の感想。 彼、彼女には日常です。 考えさ…続きを読む

作者様の構成力の高さに脱帽するホラー作品です。 緻密に描かれた人の因業と、齎される因果。 終始ぞわりとし、怪異そのものも怖いのですが、やはり人の悍ましさに震えてしまいます。 悪いこ…続きを読む

ホラー小説の醍醐味は、呪い、怨霊、曰くなど数多くありますが、やはり一番は「正体の明かされない不穏」なのではないかと思います。 もちろんスプラッタや明確な怨霊なども怖いのですが、読後…続きを読む

戦争を軸に、非日常に足を踏み入れた人々の心の機微。 守るため、逃げるため、願望を叶えるためと、それぞれが迫る死を背負いながらも奮闘する。 思わず泣いてしまいました。 未読の方がいま…続きを読む

淡々としながらも疾走感があり、呪術を題材にしたドキュメンタリーを読んでいるよう。 世代をまたいだ業因が齎した幕引きも余韻を残し、とても素敵な作品でした。 登場人物のその後に思いを馳…続きを読む

歴史ものに興味がない方も、ひとまず数話は読んでもらいたいなと、心から思います。 気付けば作者様の紡ぐ物語の勢いに呑まれ、次へ次へと読み進めてしまうはず。 しっかりとした時代考証を元…続きを読む

これまでいくつかの異類婚姻譚を読んできましたが、この作品を読み終え、衝撃を受けました。 世界観も好きですし、作者様の紡ぐ物語の重さと軽さが心地いい。 おどろおどろしい描写であるはず…続きを読む

神話的、御伽噺的な要素を下敷きに、情緒溢れる描写が素敵な作品。 文章表現も巧みで、情景や物語の連続性の高さから心地よい没入感に浸れました。 逆境に心折れることなく、共に立ち向かう主…続きを読む

まるで甘い香りまで漂ってきそうな、幻想的で妖艶な地の文に魅了されます。 人の業や愚かさも丁寧に描かれ、幻想と現存の狭間で揺れる想い。 そうして迎えた梅、桃、桜、藤、花水木、色とりど…続きを読む

とても優しく、美しい物語でした。 性差も種族もものともせず、主人公、結人の心の強さに胸を打たれます。 傷付きながらも前に進む結人が、様々な憎悪を愛に変えていく生き様は、涙なくして読…続きを読む

ネタバレになってしまうので多くは語れませんが、まずストーリーが面白い。 どのルートを辿っても終始ハラハラしますし、GOODENDに辿り着いた時の喜びもひとしお。 過去にプレイし…続きを読む

語りたいけど語れない。 なぜなら私と彼女は違うし、彼女と私の「死」も違う。 けれど読むほどに心の奥底にある、ざらざらとしたなにかに触れてくる、そんな作品です。 読む人によって感じる…続きを読む

文句なしに面白く、第一部を一気読みしてしまいました。 日常の細やかな描写や散りばめられた謎の提示など、リズミカルで飽きることのないストーリー展開。 登場人物それぞれの背景や人と…続きを読む

他者から見れば狂気であっても、本人にとっては当たり前のこと。 ぶれない主人公と住人のずれ。愛が深すぎた故に至った結末。 主人公にとっては最高のハッピーエンドなのでしょうが、それす…続きを読む

いったいどれほどの業を背負えばこのような報いになるのか── 負けてもいい、意地を張らなくてもいいと、思わず声に出してしまいそうになります。 ですが彼女が選んだのは── 選んだ道が…続きを読む

田舎のじっとりした因習が齎した、物悲しさが漂う物語。
どちらも大切だと思うからこそ、交わした約束と吐いた嘘。
物語の幕引きも余韻を残し、とてもよかったです。

まずはとても素敵な物語をありがとうございます。 絶望から死に戻り、溺愛される──という物語ですが、この物語は世界観であり、人物背景でありがとても丁寧に作り込まれていて、物語への没…続きを読む

道具のように育てられ、感情を押し殺し続けてきた主人公 そんな主人公が出会ったのはヤンデレ溺愛初心属性の王様で…… 不器用ながらも距離を縮めていく二人から目が離せず、気付けば読み…続きを読む

作者様の卓越した地の文がまるで地層のように折り重なり、皇国に潜む禍の形が浮かび上がっていきます もちろんそれは「禍」だけではなく、「愛」も含めて── 物語は後宮に巣くう闇、姫舜…続きを読む

残酷であり、甘美であり、そうして心を支配する風景

困ったことに、私もその風景に魅せられてしまいました

未読の方は是非……

いえ、勇気がありましたら、この風景を共有しましょう

ネタバレになるので多くは語れませんが とにかく一度目を通して欲しい作品 私もハッとさせられましたが この作品を読んで足を止め 気付くことがあるかと思われます 「桜は散ると…続きを読む

いやいや本当にとっても素敵 読後感が中、長編のラブロマンスを読んだそれと似ている 物語の最後、感情移入のあまり 同じ笑みを浮かべてしまった程です 未読の方は是非( ´ω` …続きを読む

箱 この言葉だけを聞くと、「仕舞うもの」「隠すもの」「整理するもの」「分け隔てるもの」というイメージを持つけれど この物語ではとても前向きな言葉で語られる そう── 大切な…続きを読む

何を言っているか分からないですって？ ふふ…… 私も分かりません 現在三週目ですが 読む度に景色が変わります もちろん私がずぶずぶと沼に沈んで行くことによる景色の変化 …続きを読む

すみません あまりのテンションに踊り出したい気分になってしまいました いいですよねぇ戦隊 いいですよねぇ合体 がっちゃんこですよがっちゃんこ シアター〇ロッソで公演して欲…続きを読む

もうこれ愛してますよね？　佐賀を 永住する気ですよね？　SAGAに それほどに作者様の溢れ出す煮汁のような佐賀愛が止まらない あ、ゾンビランドで泣きました 名作です これ…続きを読む