「僕は魔法使いじゃなく、探偵だ。……あとおじさんじゃなくて、お、に、い、さ、ん! だっ!!」
ダレン・オスカー。二十二歳。爵位は子爵。だがアパート住まい。
そんな彼の職業は、探偵(しかし公にはされていない)。
その助手キャロルは、七歳年上の叔母。
かつては存在したが、今はなくなった魔法。
そんな国で生きる二人に舞い込む依頼。
ダレンを慕う孤児エリック、不思議な力を持つフィーリア、よく記念日を忘れるキャロルの夫アーサー、全力でブラコンする兄ディラン。
個性豊かな人たちと、どんなことも見逃さないダレンの目によって明らかになる真相とは……
「この話の真実はもちろん、僕が【探偵】だって事は、どうぞご内密に」
レイルスロー王国の貴族たちの間で噂になっている、とある「探偵」……その正体はダレン・オスカー。元侯爵家の次男で、現在は個人的功績により子爵を叙爵されている。
鋭い観察眼と推理力で探偵としての腕は超一流。それでいて甘いマスクに女性たちは皆虜……かと思いきや、叔母(本人を前にして言うのは憚られる)兼助手であるキャロルが良い具合に彼の人間らしさを読者にも提供してくれて、さらに魅力的な主人公に仕上がっている。
そんなダレンの元に王女直々に届いた依頼は、「子供の神隠し」の解明である。人身売買が疑われる重大事件だ。
ダレンはその観察眼と周囲の協力により事件の真相に一歩ずつ近づいていくのだが、この事件の鍵を握る少年少女たちの秘密が、世界観の奥行きをぐっと広げている。
「剣と魔法の異世界ファンタジー」ではないが、私たちが日々嗜む物語で馴染みのある要素が綿密に織り込まれた様子は、上質さすら感じた。そこで生きるダレンたちの躍動と、悪役たちの暗躍。ファンタジー世界で繰り広げられる事件に、不思議な親近感を抱いてしまう。
王道ではないのかもしれない。それでも「異世界ファンタジー」だからこそ描ける新たな探偵物として、この一作を推したい。ぜひ、ご一読あれ!
探偵を生業としているダレン・オスカー。
彼の下に、一件の依頼が舞い込んだ。
それが、子供の神隠しの調査だった。
孤児を預かる教会の関与や、魔法も魔法使いも存在しないのにも関わらず、治癒能力を見せる少女。
様々な要素と人物の思惑が絡み合うミステリーは見どころ満載です。
主人公である、ダレンのその頭の回転の速さ。相手の仕草から瞬時に内面まで見透かすような洞察力はやはり探偵ものとしての見どころと言えるでしょう。また、彼の銃の腕前も目を見張るものがあります。
現時点で、第一部完との事。
第二部からは、まだ幼かった登場人物の成長した姿もあるとの事なので、まだまだ楽しめる事間違いなし!
オススメです。