この小説には、構成がこれで合っているのか、悩むところもあります。長い物語の序盤として見ると違和感がないという気もします。ですが、本作としての締めはありますから、この長さの物語として見ます。
ディテールを除けば、これは普遍的で時を経ても変わらない、異なる存在が出逢う物語。違い過ぎ、接点を持たないところから徐々に歩み寄る、その進みはいつの世も精神を持つものならば変わらないと思わせます。
かといってディテールを疎かにしていません。長い物語の序盤としてならと書いて失礼致しましたが、本当に長編一本書けるくらいの世界設定を構築しているのですから。これが短編で終わるのはもったいないと思えます。
堅固に構築された世界観の上で普遍的な物語を語る。王道の一作です。