和風ファンタジーで異類婚姻譚というと、神様と花嫁が浮かぶだろうか。
この作品は邪気を食べる祟り神と、式神の器にされた娘の話として描かれている。
作者様が虫注意とされている通り、蛆虫により穢れを食べる神様なので、描写が苦手な方もいるかもしれない。
私も蛆虫直視はちょっと苦手。
だが、それは全く気にならないほどに、雰囲気が作り込まれていて、世界観にのめり込んでしまった。
重暗い話のはずだが、二人の夫婦としての姿、会話の調子はどこか明るい。
しかし、コミカルとまではいかず、常に妖しい雰囲気を纏っているのだ。
神様と花嫁、二人の関係もただ依存し合うとは違ったもの。
是非とも一度手に取っていただきたい。
オススメです。
「まぼろしの恋」にも登場した蝕神サマのお話と聞き、蝕神サマ推しの私は読まずにはいられませんでした。
作者さまの感性豊かな表現力に脱帽です。こんな和風でダークなのに、きゅんきゅんが止まらないのは、やはり魅力的なキャラである主人公の蝕神サマ、そしてヒロインである小花ちゃんの解像度の高さでしょう。
ちょっとイカれたでも優しい?蝕神、虚サマ。
ちょろくて可愛いギャル系、小花ちゃん。
テーマも重いし、けして明るいお話ではないけれど、なんだかほっこりもする今作。
黒木家の贄として、暗くて淀んだ呪詛に蝕まれた存在自体が呪物であり、いつ亡くなってもおかしくない状況の小花ちゃん。その黒木家の氏神として存在している蝕神、虚サマ。
ふたりのやり取りは胸をうたれますし、どうなっちゃうの!?という読んでいてハラハラするような展開も、最終話でしっかり回収され、読者の気持ちも救われるという、素晴らしい構成でした!
素敵なお話が読めて、勢いでレビューを書いておりますが、ダークで和風ファンタジーな異類婚姻譚、かなりのオススメ作品です。
ぜひこの世界観に触れて欲しい、たくさん読まれて欲しい、そんな作品でした(*˘︶˘*).。.:*♡
蛆虫が、ロマンティックな小道具にかわる、ホラー・ラブロマンスです。
女は、憑神の器として、使い捨てにされようとしていた。身体もボロボロ、精神は、もはや狂いかけている。そして、愛に飢えている。
男……蝕神《しょくがみ》は、右半身は男娼のように若く麗しく水気がある。
左半身は、ぼとぼと腐りウジがたかっている。
そんな二人が、出会う。
読者を怖がらせる、というより、虫やひんやりした石室、物語を彩る空気自体が、ホラーです。
そんななかで、純度の高い愛が花開きます。
R15とありますが、濃いチューがあるくらいなので、ご安心を。
一風かわった、ラブロマンスを読みたい読者さまに、おすすめします!