米と人。大地と神。紡がれるのは美しく豊かな物語

一言で言えば、稲穂の香りや風の音がふわりと立ちのぼってくるような作品です。
主人公の麓は派手な英雄ではなく、土地や人、神に寄り添いながら歩く純朴な青年。その目を通して見る世界はとても穏やかで、時に胸が締めつけられるほどの残酷さを漂わせます。
米粒に神が宿るという独自の設定がとても新鮮で、気付けば作者様の創り出した世界に引き込まれていました。
不穏な気配や人と神の関係の揺らぎが少しずつ顔を出し、物語はこれからさらに広がっていきそうです。
この世界で麓がどんな景色と出会い、何を守ろうとするのか、その行く末を楽しみにしています。

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