純真無垢で、とても尊い。和風純愛ストーリー。
男社会でたくさんの他人に疎まれていても、家族を皆失っても、逢魔師として生きる男装少女の結人。同族にも恐れられて、他人も自分のことも理解できない孤高の鬼の葉桜丸。
なにかしら孤独を感じてた二人の出会いは、呪われた大地を愛で包み込む。
とにかく、結人と葉桜丸の恋愛が、愛しているという言葉すらいらないほどの純愛で、感動しました。
二人は最後まで好きとか惚れた愛しているとか、直接的な愛は交わさないけれど。最終回を読み終わったときには自然と、二人の関係性は特別なものになっていて、結ばれたんだとハッピーエンドを噛み締めることができました。
ストーリーの中で二人が交わしたあの約束が、二人の愛の形なのだと思います。
二人が見る、二人で初めて迎える春を見てみたいです。
人と妖怪の純愛。和風ファンタジーや因習ものが好きな人は読んでみてください。少しミステリーっぽくって面白いです。
千年以上前より、怨霊や祟りの神が跋扈する呪われし大地と云われる九魔盆地(きゅうまぼんち)。その地には、神や精霊、妖怪に怨霊といった人ならざる魔の者たちと取り引きし、魔に関する問題事を取り扱う仕事をする逢魔師(おうまし)と呼ばれる者たちが太古より住み着いていた。
その逢魔師の一人である、この物語の主人公――櫛笥結人(くしげゆうと)は、男社会である逢魔師の中で、初めての女逢魔師になった人物だった。
いくら優秀であっても、女であるが故、無碍にされ、邪険に扱われる結人。更には、もう古い術と言われる賓の契約を使う彼女は、殆ど異端扱いと言っても良いだろう。両親も兄もすでに他界し、守ってくれる者も無い中、結人は常に気丈であり、更には邪険な者たちをものともせずに己の意思に従う姿は、麗しくも逞しい。
そんな結人が偶然出会った鬼――葉桜丸。
人を憎み、毛嫌いしていた彼と出会う。人を憎み忌み嫌う鬼と女逢魔師。二人の出会いから、少しづつ変わっていく繋がりは必見です。
契りを交わし、共に立ち向かう姿は心ときめくものがあります。
オススメです。
「まったく。人間たちは余計な事しかせぬな。いつの世も」
逢魔師。
人ならざる〝魔の者〟たちと取引し、魔に関する問題事を取り扱う仕事をするもの。
しかし男しかなれない職のため、結人は「男」として逢魔師となった。そのため櫛笥家の〝夜叉っ子"と呼ばれる。
女であること、妖怪と契約していることで蔑まされる結人の前に現れたのは、死にかけていた鬼だった。
人間を敵視する鬼に会った結人は、彼を保護し、葉桜丸と名付ける。
葉桜丸は、火中の杜に収められていた神器〝六火の錫杖〟を探していると言っていた。結人は怨霊跋扈の事件を追っており、葉桜丸の助けを借りるためにも"賓の契約"をする。
苛烈だが優しい鬼と、境界を超える逢魔師は事件を解決することが出来るのか。