米の描写が見事で読んでいるとお腹が空いてきます。白く艶やかで普段何気なく食べている米ですが、この作品を読むとより深い味を感じるようになるかもしれません。
登場人物たちが米の格を上げるために物語の裏でどれほどの執念と努力をして、年に一度の銘米神議に挑んでいるのかと思うと彼らに頭が下がります。
少しずつ深みと魅力を増しながら物語は進んでいきます。
昔の日本風で漢字が多い文体ですが、時折含まれる現代語が親しみやすさを与え、場面のひとつひとつに息もつかせぬ緊張が含まれ、読者を作品世界に魅了させてしまう執筆力は作者様がお米の神様に愛されているからかもしれません。