概要
皆深く敬い奉るを保つべし、偽りなき信心を保つべし
【注意】結末まで分かるあらすじです
三方を山に囲まれた限界集落、囲水。土地神である「おいぬさま」を北方の山に祀る、地元住民の六割以上が後期高齢者の地区だ。
父親の死をきっかけにIターンした御手座多希子は、祖父とともに暮らしながら鍼灸師としても働いている。御手座の家は代々「おいぬさま」と呼ばれる囲水の守り神を祀り、住民達はその信仰を支えてきた。多希子は子供の頃に「拐かし」に遭い山の怪に攫われたところを、おいぬさまに助けられた経験を持つ。以来、多希子はおいぬさまを強く信仰していた。
また多希子は町内会長の訓史とともに集落の運営にも携わり、過疎化が進む中、移住者達の受け入れを行っている。しかし移住者達は囲水のしきたりをなかなか受け入れず、地元住民との間に溝が生じていた。
そんな折、移住者の
三方を山に囲まれた限界集落、囲水。土地神である「おいぬさま」を北方の山に祀る、地元住民の六割以上が後期高齢者の地区だ。
父親の死をきっかけにIターンした御手座多希子は、祖父とともに暮らしながら鍼灸師としても働いている。御手座の家は代々「おいぬさま」と呼ばれる囲水の守り神を祀り、住民達はその信仰を支えてきた。多希子は子供の頃に「拐かし」に遭い山の怪に攫われたところを、おいぬさまに助けられた経験を持つ。以来、多希子はおいぬさまを強く信仰していた。
また多希子は町内会長の訓史とともに集落の運営にも携わり、過疎化が進む中、移住者達の受け入れを行っている。しかし移住者達は囲水のしきたりをなかなか受け入れず、地元住民との間に溝が生じていた。
そんな折、移住者の
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!土地神を祀る因習村、村社会の中で生きる主人公が信じるのは……
山に囲まれた限界集落、「おいぬさま」という土地神を祀っていた。
村の存続のためにIターン政策を取るが、根付いたムラ社会で生きてきた先住民と、来てやった意識の移住者の仲は芳しくない。
主人公は「おいぬさま」への進行を守る家に生まれ、幼少期に「おいぬさま」に助けられたからか、強い信仰心があった。
しかし、移住者にはこの「土地神への信仰」は受け入れられず、さらに互いの溝を深くする原因であった。
その中で、遂に移住者の一人が不審死を遂げる。
それが、引き金となり、村は惨劇へと歩んでいく。
読めば読むほど、「人間関係の沼」が詰まっており、追い詰められた時こそ本性が出るというのがよくわかる作品です。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!礼を失する住人たちの末路は……。
限界集落出身の俺としては、懐かしい思いでこの物語を読んだ。
惜しむらくは俺の出身地は因習村ではなかったので、この点においてはシンパシーを感じることはできず、想像力に頼るしか術はなかったのだが。
巧く社会風刺が効いた物語だと思った。(ホラー小説に対する褒め言葉になっているのかどうかは、はなはだ疑問ではあるけれど)
作中の村ではIターンを推奨する政策をとっているが、ムラ意識の強い先住民とお客様気質の移住者の間に在る溝は深い。引いて語るならば我が国の高齢化社会の働き手不足を、外国人労働力に頼る向きもあるのだが……この物語に照らして見れば、行き着く先に恐ろしさを感じずには居られない。
さて、冒頭…続きを読む