概要
彼は受賞の喜びで大学を中退しており、学生でも作家でもない身分で途方に暮れていた。
同時期、編集部はあることでざわついていた。
書籍発売に向け、改稿作業に入っていたweb小説の作者が何の前触れもなく失踪したのだ。
編集部は、登戸に『出版中止』の取りやめを条件に、web小説のゴーストライトを依頼する。
複雑な心境のまま、依頼を受け、家に帰った登戸。
しかし、そこには女が――美人の幽霊がいた。
この記憶喪失した幽霊との出会いが、新たなつながりを生む。
小説家ワナビの少年に、元読専編集者に、狂った女に、コスプレ年増に……
多視点の一人称で描かれる青春群像劇。それぞれが抱える謎は、やがて一つの事件へとつながる。
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おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!WEB小説の影に、熱量を乗せて
新人賞で銀賞を受賞した主人公はしかし、とある事情で出版の件を白紙にされ、代わりに未完結のWEB小説のゴーストライターをしないかと提示される。
そんな彼のもとに、更に素敵な幽霊が現れ……さて、主人公は無事にデビューできるのか!
話ごとに視点が変わる群像劇ですが、話を進めるごとにうまい具合に収束していきます。
カッチリとプロットを練ったんだろうな、と思いつつワクワクと読み進められること間違いなし。
また、WEB小説でよく見聞きする「良くない噂」が1つの軸となっていますが、これに対する主人公の想いに、若い彼のエネルギーがうまく表現できていると思いました。年を重ねた自分からすると「まあそうい…続きを読む - ★★ Very Good!!WEB小説へのオマージュと皮肉に満ちた人間賛歌
読み手・書き手問わず、Web小説界隈に関わったことのある人間ならば少なからず覚えがあるであろう、数々の「グロ描写」に思わず苦笑い。人によっては心を深くえぐられるのではないだろうか?(笑)
おそらくは、作者氏が今までに見聞きしたWEB小説界隈の大小様々な「事件」がモデルとなっているのであろうが、それらを現実からの単純なコピー&ペーストではなく、物語の中に息づくエピソードとして見事に書き上げている。
――とこれだけだと「WEB小説界隈の大小の事件を皮肉った作品」と思われてしまいそうだが、本作の魅力はそれにとどまらない。
エピソードに合わせて設計されたキャラクター達――もしくはキャラク…続きを読む - ★★★ Excellent!!!作者視点と読者視点を冷静に分析した、創作現場のやるせなさが見事!
新人賞をフイにされた登戸に舞い降りるゴーストライトの依頼と本物の幽霊、その奇妙な一致にキナ臭い影――
そんな少し変わった切り口の創作視点小説ですが、勝手ながら作品を読む前のイメージは、Web創作の闇をずらっと書かれた作者同士のしがらみ&あるある共感のオンパレード……と想定していましたが、とんでもない!
ここに広がっていたのは人間味溢れるキャラクターの正に青春群像劇でした。
当物語に置いて語られるのは常に対立構造です。アナログとデジタル、作者主義と読者主義。意見のぶつけ合いとなるが、どっちの考えも最終的に間違っていることはありません。そして様々な意見を吸収して登戸が変わっていく様は、成長物語そ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!WEB小説ならではのテーマ!
WEB小説の新人賞を受賞した主人公・登戸と、同じくWEB作家で書籍化間近の作品を仕上げていた女性を軸に、WEB小説の「闇」に焦点を当てた作品です。
PVが増えない。評価が増えない。DMによる裏取引などなど。WEB小説を書く方なら、誰もが悩んだり、聞いたことがある要素が主人公の視点で語られていきます。
「あー、こうなっていたのか」と思うことや「こんなことが起きていたのか」とたいへん勉強になります。
物語の方も、「幽霊」となった彼女の背景や主人公を担当する編集者の方など、ドラマ性があり、展開が気になります。
WEB小説を書く方におすすめの作品です。 - ★★★ Excellent!!!作者の誰もが胸を衝かれる『残酷な現実』――この葛藤を糧に成長できるか?
書籍化を条件に『ゴーストライト』を依頼される――という、冒頭からいきなりショッキングな展開に、目が離せなくなりました。
主人公の登戸は、『自作品至上主義』。彼ほどではなくても、自分の作品を強く愛する思いは、小説を書く方なら誰でも共感できるはずです。
だからこそ、彼の頑ななまでのこだわりに感情移入し、それを許さない環境にもどかしさを覚えたり、逆に登戸に対してもっと柔軟になってよ、などとと歯噛みしたりと、心が大きく揺り動かされます。
また登戸は『幽霊』のヒロインに出会うのですが、彼女も大きな闇を抱えているようで、そこから物語はウェブ投稿に留まらず、SNSでの言動についてまで広がっていきます…続きを読む - ★★★ Excellent!!!文字通り「ゴーストライター」。それ以外の表現が見つからない!
ゴーストライターをしなければならなくなった作家である主人公と、とあることで意図せず主人公と関わりのある幽霊、更には関西弁の編集やPVが増えないWEB小説投稿の高校生など多種多様な人物が登場する本作ですが、何より特記すべきなのは、色々とWEB小説について多視点的に語られていることです。読んでいて首肯する部分もあれば、そうなのかと驚きのあることも。このような視点でWEB小説とは成り立っているのだ、と改めて深く思いました。
話の本筋もこれからどのように彼は小説を書いていくのか、色々と気になってきております。
面白いです。