新人賞で銀賞を受賞した主人公はしかし、とある事情で出版の件を白紙にされ、代わりに未完結のWEB小説のゴーストライターをしないかと提示される。
そんな彼のもとに、更に素敵な幽霊が現れ……さて、主人公は無事にデビューできるのか!
話ごとに視点が変わる群像劇ですが、話を進めるごとにうまい具合に収束していきます。
カッチリとプロットを練ったんだろうな、と思いつつワクワクと読み進められること間違いなし。
また、WEB小説でよく見聞きする「良くない噂」が1つの軸となっていますが、これに対する主人公の想いに、若い彼のエネルギーがうまく表現できていると思いました。年を重ねた自分からすると「まあそういうこともあるよね」で済ませてしまいなことに、きちんと熱量がぶつけられています。この辺りが、彼と同い年くらい、20代前後の読者にはより刺さるでしょう。
挿話も良い箸休めになっていて読みやすい作品、皆さまもぜひご覧下さい!
読み手・書き手問わず、Web小説界隈に関わったことのある人間ならば少なからず覚えがあるであろう、数々の「グロ描写」に思わず苦笑い。人によっては心を深くえぐられるのではないだろうか?(笑)
おそらくは、作者氏が今までに見聞きしたWEB小説界隈の大小様々な「事件」がモデルとなっているのであろうが、それらを現実からの単純なコピー&ペーストではなく、物語の中に息づくエピソードとして見事に書き上げている。
――とこれだけだと「WEB小説界隈の大小の事件を皮肉った作品」と思われてしまいそうだが、本作の魅力はそれにとどまらない。
エピソードに合わせて設計されたキャラクター達――もしくはキャラクター達に合わせて取捨選択されたエピソード――の「至らぬ人々」具合も秀逸だ。
能力や情熱はあれど「何かが欠けた」人々が右往左往する様は、ユーモラスでもありまた悲哀に満ちてもいる。
「至らない」からこそ人間は、時にひたむきに、時に悪どく、時にしたたかに立ち振る舞う。彼ら彼女らの織りなす群像劇からは、生々しいまでの喜怒哀楽を感じる。
本作の根底にあるのは「人間賛歌」なのかもしれない。
新人賞をフイにされた登戸に舞い降りるゴーストライトの依頼と本物の幽霊、その奇妙な一致にキナ臭い影――
そんな少し変わった切り口の創作視点小説ですが、勝手ながら作品を読む前のイメージは、Web創作の闇をずらっと書かれた作者同士のしがらみ&あるある共感のオンパレード……と想定していましたが、とんでもない!
ここに広がっていたのは人間味溢れるキャラクターの正に青春群像劇でした。
当物語に置いて語られるのは常に対立構造です。アナログとデジタル、作者主義と読者主義。意見のぶつけ合いとなるが、どっちの考えも最終的に間違っていることはありません。そして様々な意見を吸収して登戸が変わっていく様は、成長物語そのものです。
そして相手の主張を理解に至るまでの心理描写がまた見事。この心理描写は作者だけでなく読み手の物語へ向き合う視点からも行われ、作者と読者の関係性における問題を想起――それは『幽霊とゴーストライター』の読者も決して他人事ではいられない体験型の物語であるともいえます。
と、長々と語ってしまいましたが物語のテイストは至って軽いです、なによりキャラクターがいいんですよ。
みなポンコツだし、自分の意見を押し付ける頭でっかちだし、とても生き生きとしてます。一名死んでますが。
個人的には落としどころは全く予想できないので、純粋に先の展開が楽しみです。そして素敵なエンディングを用意してると作者様は豪語されておりますので、その挑戦を受けるためだけにでもこの物語を取る価値はあるのじゃないでしょうか?笑
WEB小説の新人賞を受賞した主人公・登戸と、同じくWEB作家で書籍化間近の作品を仕上げていた女性を軸に、WEB小説の「闇」に焦点を当てた作品です。
PVが増えない。評価が増えない。DMによる裏取引などなど。WEB小説を書く方なら、誰もが悩んだり、聞いたことがある要素が主人公の視点で語られていきます。
「あー、こうなっていたのか」と思うことや「こんなことが起きていたのか」とたいへん勉強になります。
物語の方も、「幽霊」となった彼女の背景や主人公を担当する編集者の方など、ドラマ性があり、展開が気になります。
WEB小説を書く方におすすめの作品です。
書籍化を条件に『ゴーストライト』を依頼される――という、冒頭からいきなりショッキングな展開に、目が離せなくなりました。
主人公の登戸は、『自作品至上主義』。彼ほどではなくても、自分の作品を強く愛する思いは、小説を書く方なら誰でも共感できるはずです。
だからこそ、彼の頑ななまでのこだわりに感情移入し、それを許さない環境にもどかしさを覚えたり、逆に登戸に対してもっと柔軟になってよ、などとと歯噛みしたりと、心が大きく揺り動かされます。
また登戸は『幽霊』のヒロインに出会うのですが、彼女も大きな闇を抱えているようで、そこから物語はウェブ投稿に留まらず、SNSでの言動についてまで広がっていきます。
ほのぼのとした場面や会話も多く、さらりと読めてしまうのに、しかし心に刺さるものが大きい!大きすぎる!!
ストーリーは更に謎めいた展開となってきましたが、これからが楽しみであり怖いようでもあり……それでもやっぱり、更新を心待ちにしてしまう、魔力のような吸引力のある作品です。
ゴーストライターをしなければならなくなった作家である主人公と、とあることで意図せず主人公と関わりのある幽霊、更には関西弁の編集やPVが増えないWEB小説投稿の高校生など多種多様な人物が登場する本作ですが、何より特記すべきなのは、色々とWEB小説について多視点的に語られていることです。読んでいて首肯する部分もあれば、そうなのかと驚きのあることも。このような視点でWEB小説とは成り立っているのだ、と改めて深く思いました。
話の本筋もこれからどのように彼は小説を書いていくのか、色々と気になってきております。
面白いです。
新人賞を取ったものの、とある事情によりデビューが危ぶまれていた主人公。
その主人公にデビューの交換条件として提示されたのは、ある書籍化web小説のゴーストライターになることだった。
戸惑う彼の前に現れた、美人の幽霊。
彼女の正体とは!? 果たして主人公はデビューできるのか!?
謎が謎を呼ぶ展開ですが、そのストーリーラインを彩るのはwebで小説を書いていると一度は見聞きしたことあるような事象、書き込み、噂。
そこに渦巻く嫉妬や怨嗟。そして炎上。
思わず、にやりとなること間違いなしです。
そういったweb作家に纏わる闇を、主人公や幽霊の彼女はどうやって乗り越えていくのか。それとも飲み込まれてしまうのか。
私が読んだのは最新更新分の18話までですが、ちりばめられた謎がどういう結末を迎えるのかとても楽しみです。
読んだきっかけはあらすじとその内容に期待して。いざ読み進めると、あら不思議。あれよあれよとページを進む手が止まらない。新人作家「登戸」、登戸の担当編集「山野」、今のところこの二人の視点がメインで物語が動いてる。一人称多視点で混乱するかと思ったけど、エピソードタイトルのおかげでそこまで混乱せずに読めた。幽霊、登戸が尊敬する作家、山野、山野の上司にあたる編集長……様々な人が絡んでストーリーが進むと思われる。
まず特筆すべきは一人称多視点であり、複数視点が苦手でない人に読んでほしい。また、題材が題材なので、ウェブ小説を読んでるそこの貴方も読んでみたら惹き込まれると思います!!