作者視点と読者視点を冷静に分析した、創作現場のやるせなさが見事!

新人賞をフイにされた登戸に舞い降りるゴーストライトの依頼と本物の幽霊、その奇妙な一致にキナ臭い影――
そんな少し変わった切り口の創作視点小説ですが、勝手ながら作品を読む前のイメージは、Web創作の闇をずらっと書かれた作者同士のしがらみ&あるある共感のオンパレード……と想定していましたが、とんでもない!
ここに広がっていたのは人間味溢れるキャラクターの正に青春群像劇でした。
当物語に置いて語られるのは常に対立構造です。アナログとデジタル、作者主義と読者主義。意見のぶつけ合いとなるが、どっちの考えも最終的に間違っていることはありません。そして様々な意見を吸収して登戸が変わっていく様は、成長物語そのものです。
そして相手の主張を理解に至るまでの心理描写がまた見事。この心理描写は作者だけでなく読み手の物語へ向き合う視点からも行われ、作者と読者の関係性における問題を想起――それは『幽霊とゴーストライター』の読者も決して他人事ではいられない体験型の物語であるともいえます。

と、長々と語ってしまいましたが物語のテイストは至って軽いです、なによりキャラクターがいいんですよ。
みなポンコツだし、自分の意見を押し付ける頭でっかちだし、とても生き生きとしてます。一名死んでますが。
個人的には落としどころは全く予想できないので、純粋に先の展開が楽しみです。そして素敵なエンディングを用意してると作者様は豪語されておりますので、その挑戦を受けるためだけにでもこの物語を取る価値はあるのじゃないでしょうか?笑

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