39「会議」

 写真はひどく汚れており、それ以外は確認できなかった。

 「家族を捨てたあなたが、そんなものを持っているとはね……」

 「俺は家族を捨てたわけではない。たまたま、お前たちがあの場所に居ただけだ」

 愛美はため息を付いた。

 「どうやら、あなたとは話が終わらないようね」

 そう言って、その場を離れた。

 『真実を言わなくていいのか?』

 しばらくして、向かいの牢から声がした。

 『言っても、あいつは真実を受け入れない』

 『それでいいのか?』

 仁はポケットからさっきの、写真の破れた上の方を取り出した。

 男性と女性が2人、穏やかな笑顔を見せていた。

 『ああ、俺は犯罪者で、あいつは被害者の方が、あいつは幸せだ』

 『まあ、郷に入っては郷に従えって、日本のことわざにもあるらしいからな。辛くても、しょうがないか……』

 『ああ……』

 2つの写真は合わさり、1つの風景を描いていた。

 その写真には、水が数滴流れていた。


 研介達は食堂に着き、食料をもらい席に座った。

 だが時間は昼にしてはひどく遅い時間だった。

 『ジョエル、俺らの業界じゃあ有名な奴だ。ジョエル、俺の隣に居るのは研介と優理だ』

 『はじめまして』

 2人はジョエルと握手を交わした。

 『ジョエルは、一般人なの?』

 『ああ、この騒動で人手が足らなくなったとき、FPSの腕を買われた。このSRとアンマテはその時もらった』

 『カラスを撃ったのはアンマテですか?』

 『勿論アンマテだ』

 4人は食事を進めながら、話をした。

 『俺たちのヘリを撃ってのが誰だか知ってるか?』

 『分からない。どんな風に撃たれた?』

 『操縦者を1発です』

 『難しいな。それなりの銃の特徴を知っていなければ。おそらく本職だろう』

 『そうですか。サングラスを付けたスーツの男は見ましたか?』

 『そんな人、探せばすぐに見つかる』

 だが、あまり匙は進んでいないようだった

 『そういや、お前らは何しにここに来たんだ?そのスーツの男と関係があるのか?』

 『特殊部隊の格好をした奴を追って来たのよ。まあ、そう言っても分からないと思うけどスーツの男との関係性はまだ分からないわ』

 愛美の声がした。

 「愛美ちゃん!?」

 「大斗さん達と一緒じゃないんですか?」

 「違うわ」

 愛美はそう言って優理の隣に座った。

 『確か……ヘルメットに、ゴーグルのようなものをおでこにを付けていたわ。ガスマスクとかは付けていなかったわ』

 ジョエルは顎に手を当てて考えた。

 『待て、ウォルターが目撃したと言っていた』

 『お、丁度いいところに』

 大斗達が食料を持って来た。

 『ジョエル、お前死体処理を忘れているぞ』

 『分かった、明日やる』

 『それでいい、座ってくれ』

 席に座った。

 『それより、ウォルター』

 『何だ?』

 『お前、とある特殊部隊を見たって言ってなかったか?』

 『俺じゃない、アベルだ』

 『何?特殊部隊?どこでだ?』

 大斗は手を止めた。

 『確か、港の方だ。アンブルク港付近』

 『あの船の建物があるところか』

 『船の建物、ですか?』

 『ああ、行けば分かる』

 数十分後。

 「よし、行き先が決定した。アンブルク港だ」

 『アンブルク港に行くのか?』

 『はい、そうです』

 『車を出してやる付いて来い』

 『ありがとうございます』

 大斗達はウォルターに付いていった。

 門の前についた。

 そこには中型の軍事トラックが止められており、ジョンとメリオが居た。

 『またあなたですか』

 『まあ、予想は付いていた』

 『アンブルク港ですね。乗って下さい。飛ばして行きます』

 『慎重でいいです』

 大斗達は、トラックに乗った。

 躊躇しながらも。 

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