第4節「町」

19「佐々木家」

 大斗達は歩きながら話した。 

 「それで佐々木、見ておきたいってのは何処なんだ?」

 「俺のじいちゃんの家であり仕事場だ。」

 「仕事場で家?職人なのか?」

 「花火屋、その道50年だ。」

 「凄い人ですね。」

 「それで、そこは何処にあるんだ?」

 「もうすぐのはず。」

 大斗たちは歩いていった。


 佐々木は立ち止まり言った。

 「ここだ。」

 外見はいたって普通の家と大きい倉庫だ。

 大斗達は家の中に入る。

 「誰か居るか?」

 返事はなかった。

 「居ないのでしょうか?」

 「おーい!じいちゃん、俺だ!太だ!」

 またも返事はなかった。

 「居ないな。」

 「倉庫に居るんじゃないか?」

 「多分な、先に行っててくれ、俺はトイレに行ってくる。」

 佐々木はトイレに駆け込み、大斗達は倉庫に入った。

 倉庫の中には花火は無かった。

 「誰ですか?ここを壊しに来たのですか!?」

 中にいた外人が話しかけてきた。

 他に人は居なかった。

 「違う!」

 大斗は言ったが、すぐ後に言い返された。

 「あなたたちは嘘をついている!ここを壊すつもりだ!私は守る。」

 「だから!」

 外人は近くにある空の瓶を3個投げた。

 瓶の1つが舞に向かった。

 舞は身を屈める。

 舞に当たる前に、大斗はその瓶をキャッチして捨てた。

 後の2つは当たらなかった。

 「大丈夫か!?」

 「…は、はい。」

 「おい!どうした!」

 佐々木が来た。

 「何だ。どうした?」

 「どうしたの!?」

 同時に奥の方から老人と女性が出てきた。

 「太君!?」

 「ジュリアン!何があったんだ!?」

 「とりあえず皆落ち着いて、それで話そう。」

 「そうですね。」 


 全員家の居間に移動した。

 「まず名前から言おう。俺は三神大斗。そして男の方は田中信太。女子は小野咲舞だ。」

 「わしは佐々木 正博まさひろ。この外人さんはジュリアン・グラウス。こちらの女性は新井 希のぞみ、2人は結婚している。」

 「先ほどはすいませんでした。私も戸惑っていて。」

 「大丈夫です。それにしても日本語お上手ですね。」

 「ジュリアンは結構前から日本にいるわ。」

 「どうりで。」

 「三神さんは自衛隊の方かい?」

 「そうです。」

 「仲間もいたはずじゃ?」

 「分かれて探索しています。」

 「そうですか。」

 「何で太はここに来たんですか?」

 「たまたまだ。」

 佐々木の腹が鳴った。

 「あ…」

 「丁度良い、お昼にしましょう。三神さんたちもどうぞ。」

 「いえ、悪いです。」 

 「まあまあ、そう言わずに。」

 「そうですよ。」

 「それではいただきます。」

 「あ、手伝いますよ。」

 「あら、ありがとう。」

 2人はキッチンに行った。

 「ただいま…ってあれ?誰か居るのか?」

 誰かが扉を開け、中に入ってきた。

 「師匠!?」

 「ん?大斗か!?何でおぬしここに?」

 「たまたまです。師匠はどうしてここに?」

 「花火作ってるって言ったじゃろう。」

 「知り合いなのか?遠藤さん。」

 「色々と鍛錬してやった。」

 「遠藤さん、もうすぐご飯です。」

 「分かった。」


 昼飯を食べ終わった。

 「大斗、俺はここに残る。」

 「分かった。」

 「舞、この刀をやる。」

 「ありがとうございます。」

 「それじゃあな。」

 「ああ。最初の時はあんな事をしてすまなかった。」

 「いや、いいさ。そうゆう人だっている。お前はおかしくはない。」

 「今までありがとう。」

 「こちらこそ。」

 家を出ようとした時だった。

 「そうじゃおぬしら、倉庫に来なさい。」

 遠藤は大斗達を呼び留めた。

 「何かあるんですか?」

 「まあ、お楽しみじゃ。」

 大斗達は倉庫へと移った。

 「おぬしら、何かを追っているのだろう。」

 「何で分かったんですか?」

 「勘じゃ。」

 「大斗は良いが、おぬしら2人は力がない。」 

 「俺は大丈夫だ。銃があれば生きれる。」

 「信太といったな、銃が弾切れという場合がある。そうだな、銃を使った攻撃方法を教えよう。」

 「分かった。」

 「舞といったかの。おぬしは太から刀を受け取ってるはずじゃ。刀を使う技を教えよう。」

 「え、でも…」

 「おぬしもこやつらに付いて行くなら、間違いなく戦力外だ。」

 「分かりました。」

 「不安にならんくても大丈夫じゃ。大斗は練習を手伝ってくれ。」

 「はい。」

 遠藤による指導が始まった。


 1時間程の練習だった。

 「2人とも筋が良い。もう実戦でも大丈夫だろう。」

 「遠藤さんは何でこんな事をするんだ?」

 「ゾンビがいる世界じゃぞ、生き延びてもらいたいのは普通じゃろう。」

 「まあ、そうですね。」

 「そうじゃ、外に出ていた時、自衛隊じゃない部隊がいたぞ。」

 「どこにいました?」

 「確か中央道リにいたけど、ビルがどうこう言ってたな。」

 「ここら辺でビルってどこですか?」

 「それほど遠くはない。南東の方に行くとすぐ分かる。」

 「ありがとうございます。」

 「よし、行こう。」

 大斗たちは外に出た。

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