第3節「廃校」

14「機械の龍」

 サービスエリアに着いた。

 結構広めだ。

 「お前ら、ここを通るのか?」

 ガラの悪い5人の男達が、店から出てきて言った。

 「生存者か、他に誰か生きている人は居ますか?」

 研介は聞いたが、男達は答えずその内の1人は言った。

 「そんな事はどうでもいい。お前ら、武器を渡せ。」

 「そうだな、その銃が良いな。」

 「駄目だ。渡すことは出来ない。」

 すると、男達は鼻で笑った。

 「お前ら、この方を誰だと思ってる。」

 「俺はこの辺りで名の知れた、機械の龍だ!そして俺ら5人はμ.」

 「そのネタはやめろ!」

 「怖いですからね。」

 「お前それやったら何されるか分かんねえよ。」

 「まあいい。」

 「それで、こちらが武器を渡さなかったらどうするの?」

 「無理やり奪い取るだけだ!」

 「大斗さん、ここは私に任せてください。」

 龍一が前に1歩出て言った。

 「龍一?」

 「大丈夫です。」

 それまでとは違った気が漂っていた。

 「分かった。」

 「頑張って下さい。」

 そして龍一は男達に向かって言った。

 「お前ら、筑山の生徒か?」

 「そうだ、筑山の奴らを相手に出来るのか?」

 「実はな、俺も筑山の生徒だったんだよ。」

 「なら話は早い、退屈せずに済みそうだな。」

 「まずお前、行け!」


 機械の白龍が言うと、右端にいた男が龍一に向かって行った。

 「おらあ!」

 男はパンチをするが、龍一はそれに対しカウンターを決め、男は倒れた。

 「まだ戦えるだろ。立てよ。」 

 「なめんな!」

 男はまたもパンチをする。

 龍一は避けると、男の腕を掴み、頭を持って地面に叩き付けた。

 男は倒れたまま立ち上がらなかった。

 「次、来いよ。」

 「お前ら、行け!」


 男3人が龍一に向かった。

 その内の1人(以下男1)がナイフを取り出すと、龍一に切りかかった。

 腕が切られ服が破けた。

 龍一はそいつを破れた方の手で持つと、そのまま振り回した。

 男を放った。

 放たれた男1はそのまま別の男(以下男2)に当たるが、その時に破れた袖を掴んでいた。

 追撃でパンチをした。

 拳は男1の顔面に当たって男は倒れた。

 別の男(以下男3)が蹴りを入れた。

 龍一は防御した。

 男2も蹴る。

 龍一は男3を男2の方に向けた。

 蹴りはそいつに当たった。

 更に龍一は、男3の腕に関節技を決めた。

 バキッ!という音が鳴った。

 パンチをし、男3は腹を抑える。

 龍一は男3の頭を足で挟むと、首を勢い良く曲げた。

 グギ!という音が鳴った。


 龍一は息を整えた。

 「り、龍一、お前、その腕は?」

 裾が破けた後も、激しい戦闘で見えなかった腕は、落ち着いたことで見えるようになった。

 その腕はナイフで切られた後だが、血は出ていなかった。

 義手だったからだ。

「教えてやるよ!機械の龍!なぜそう呼ばれているか!」

 「お、お前!まさか!」

 「機械は義手!龍はそいつの名前だ!」

 龍一はそう言うと、男に向かって走って行った。

 「うおおおおおおお!」

 男と龍一はほぼ同時に拳を放った。

 龍一の鉄拳が男の顔に当たった。

 鈍い音が鳴り、男は後ろへ吹っ飛んだ。


 龍一は義手の様子を確認し、研介達の所へ戻った。

 「終わりました。」

 「龍一、手袋の下はそうなっていたのか。」

 「はい、私は中3の時、この義手を付けました。」

 「何があったの?」

 「アメリカで無茶をしました。」

 「一体どのくらいの無茶をしたんだが。」

 「何で今まで黙っていたんですか?」

 「怖かったんです。」

 龍一は視線を下に向けた。

 「これを見て、皆さんがどう思うか分からなかったので。実際、前にもこれを見せて、引かれた人もいました。」

 「私達は大丈夫だよ。」

 「別にいいんじゃないか。」

 佐々木がそう言うと、龍一は顔を上げた。 

「分かりました。」

 「しかし驚いたよ、龍一がこんなに強かったなんて。」 

 「そうですね、しかもCQCですよ。」

 「一体どこで習ってきたんだ?」

 「幼少の頃ロシアで。」

 「なんか、この中で一番戦っているのお前だな。」

 「そうかもしれませんね。」

 「それにしても、こいつらどうしようかしら。」

 「店の中に運びましょうか?」

 「そうだな。少なくとも、ここに放置するよりはましだろう。」

 研介達は男達を背負いながら店の中に入った。

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