第2節「希望の檻」
34「グリフォン」
その直後、全員男から銃声のした方に視線を移した。
軍の男性4人組だった。
彼らは研介達に気づいたようで、その内1人(以下男性1)が話しかけた。
『日本人か、こんなところに何の用だ?』
『私たちはある人を追って来ました』
いきなり、大斗はその男性1の胸ぐらを掴んで言った。
『おい、なぜ殺した……』
『はぁ?』
『何でこの男を殺したんだ!』
そこにいた別の男性(以下男性2)は男性1と大斗を離した。
男性1はため息を吐いてから言った。
『決まっているだろう、要らないからだ』
『要らない!?どうゆうことだ!』
『簡単だ。奴らは死体だ、いつかは腐り、果てる。その時に俺達は新たな国を造り、誰かが政治をして、人々は1つにならなければいけない。こいつは薬物中毒だ、こんなやつをその時に居ては困るからだ』
『殺すほどの罪は犯していないし、狂ってもいない!人は死を自然に迎えるのが1番だ!助けられるものは助ける!当たり前のことだろう!』
『団体の内1人でも過ちを犯せば、団体の統計は取れなくなる場合がある。基本だろう』
男性1は小さく息を吐いた。
『それに、確かにこいつは狂ってはいない。』
大斗は男性1を睨み付けた。
『狂っているのは、ここにいる全員だ』
『どうゆうこと!?』
『この環境で平常でいられるのは、過去に生死を共にしたか、もしくは……』
『もしくは……?』
『おかしいかだ』
『まあ、そうですね。話を変えましょう、もっと話すべき事があるはずです』
『だな、お前らは何でここに来た?』
男性1は答えた。
『TV局に用があってな、ラジオのが聞こえなくなったんだ?何か知らないか?』
研介達はその理由はわかっている、だが言わなかった。
『いや、知らないよ』
『そうか』
『おじさん達も、軍人?』
今度は男性2が答えた。
『そうだ』
『何かの特殊部隊なんですか?』
『ああ、フィリピン軍鎮圧部隊。通称グリフォンだ』
その単語に、研介達は反応した。
『お、おい、グリフォンってどうゆうことだ』
研介達は小声で話した。
『今さっき、確かにグリフォンって言いましたよね』
『そうね、でもダリエルとは服装が違うわ』
『もしかしたら、ダリエルは俺らとこの男たちを戦わせようとしているのかと思います』
『そうかも。まあ、殺しあうのは面倒だし』
『どうしたんだ?』
別の男性(以下男性3)が話しかけてきた。
『い、いや、何でもない』
『そうなのか』
『そろそろ名前を教えてくれないかしら?』
男性1は答えた。
『分かった、俺はウォルターだ』
男性2が言った。
『ジェイソンだ』
男性3は言った。
『ジョン。こいつはメリオだ』
研介達もそれぞれ名乗った。
少し前、アリス。
『今接触したわ』
『ところで、口は滑らせてないだろうな』
『滑らせてないわ。このまま上手くいくといいわね』
『そうだな、ご苦労だった』
アリスは無線を切った。
研介達。
『拠点は?』
『刑務所を使っている。来るか?』
『今目指す場所はないですし、どうでしょうか?』
『行くか』
『分かった、案内しよう。別名、希望の檻に』
研介達には、ウォルターがドヤ顔しているように見えた。
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