17「それは まぎれもなく やつさ」

 「気が済んだか?」

 「…はい。」

 「体は大丈夫かしら?」

 研介は自分の脈を計るが、特に異常は見られなかった。

 「大丈夫です。心配させてすみません。ところで、私はあの後どうなったんですか?」

 信太は躊躇した後言った。

 「死んだ。脈がなくなり、ゾンビになった。」

 「しかし研介さんはここにいます、何かあったんですか?」

 「分からないです。」

 「それじゃあ、何で生きているんでしょうか?」

 「さては貴様、偽物だな!?」

 「違う。ところで、そっちの方は何があったんですか?何で蛇と戦ってたんですか?」

 「蛇?違う。あの形は紛れもなく奴だ。」

 「え?違うんですか?」

 研介は蛇をもう一度見る。

 「あ、違う、コブラじゃねーか!何でコブラなんか日本に居るんですか?」

 「知らないわよ、そんなの。」

 「話を戻しましょう。」

 「そうだな。」

 大斗は話始めた。


 3時間前。

 研介が倒れた30分後。

 大斗たちは死んだことを確認するまで、その場にいた。

 研介はいきなり立ち上がった。

 「研介さん?」

 研介の顔は青白く、とても生きているとは思えなかった。

 「く!やっぱり蜘蛛の毒には勝てなかったよ。」

 「研介、やっぱり駄目だったか!?」

 「研介さん…。」

 「行きましょう、研介さんの死を無駄にしないためにも。」

 大斗たちは先に進んだ。


 木製の学校が見えた。

 「廃校だろうか?」

 「そのようだね。入ってみよう。」

 「別に入る必要はない。ただ、校門しか行ける道は無いようだな。」

 校門の門を開けるが、鍵がかかっていて開かない。

 「開かないぞ。チェンソーで切れないのか?」

 「駄目です。隙間が作れません。」

 「塀も登れそうにないわ。」

 「しょうがない、別の道を探しましょうか。」

 「そうしよう、前の学校のように分かれて探そう。佐々木は俺と来てくれ。」

 「はいよ。」

 「この場合、大斗が誘い受けということかな。」

 「どんなカップリングだよ、それは。あ、龍一も頼む。」

 「分かりました。」

 信太と優理以外話は分からなかった。

 「舞、一緒にどう?」

 「分かりました。」

 「えー何で?」

 「変態だからよ。」

 「仕方ない、行くか。」

 「分かったよ。」

 「よし、俺らは3階、愛美は2階、優理は1階を探索してくれ。」

 大斗たちは廃校に入った。


 時は戻る。

 「ここまではいいな。」

 「ちょっと待って下さい。もしかして俺が死んだのを確認するまで待ってました?」

 「もちろんよ。」

 「研介さんですから、もしかしたらって事もあるかと思って。」

 「でも、研介は何でそんな治癒能力持ってんだ?」

 「自分でも分からないんです。」

 「愛美ちゃん、研介の血液検査したよね。」

 「覚えてないわ。」

 「仕方ない、話を続けるぞ。」


 約2時間前。

 「さて、まずはこの教室から。」

 優理は部屋の扉を開ける。

 「何もないじゃん。」

 「しょうがない、次、行ってみよう!」

 「テンション高いな。」

 優理たちが部屋を出た時、窓に何か大きい生物が横切った。

 次の教室に入った。

 中央に時計が一台置いてあった。

 「何だ?これは。」

 「7時35分を指してる。どうゆう意味だろう?」

 「さあ?分からない。もしかしたら何か意味があるかもしれないな。」

 時計を調べていた時だった。

 扉から、誰かが叩いている。

 「誰?」

 優理と信太は銃を構えた。

 扉が壊れ、大量のゾンビが襲い掛かる。

 「駄目だ!多すぎる。」

 その時だった。

 木製の壁が壊れた。

 「!?」

 そして巨大な生物が外から教室の中に入り、ゾンビを蹴散らして、そのまま外に出て行った。

 「何!?」

 「鱗が見えた。トカゲか何かか?」

 外に行き、確認をするが、もうそこにはいなかった。

 「追いかけよう。」

 「そうね。」

 優理たちはその生物を追いかけた。


 時は戻る。

 「ここまで良いな。」

 「いや、何で大斗さんが知ってるんですか?」

 「細けえこたあ良いんだよ。」

 「はい。」

 「次、言うぞ。」

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