33「麻薬、ダメ、絶対」

 大斗はそれを止めようとした。

 しかし、遅かった。

 悲鳴が消えると、男はその場に倒れていた。

 血まみれで、動くことはなかった。

 「舞、その鍵は?」

 舞は鍵を拾い、見た。

 「搬入口です」

 舞はその鍵を大斗に手渡した。

 「行きましょう」

 研介達は搬入口へ向かった。

 搬入口に着くと、舞は研介達に聞いた。

 「あの、さっきの人を助けることは出来なかったんでしょうか?」

 「出来た。だけど少し遅かった」

 「それに、あいつは自ら死を選んだ。それがあいつの選んだ選択肢だ」

 「ああ、だが生きることの希望をあれば助かった」

 大斗と信太は答えた。

 「まあ、こんな状況ですし、仕方無いでしょう」

 扉を開け、先へ進んだ。

 どうやら、このTV局はビル群の端のほうで、進んでいく先は住宅街だった。

 「大斗さん、あの家のベランダに」

 「ん?」

 そこには若い白人の女性がいた。

 若い白人の女性も研介達に気付いたようで、家の中に入っていった。

 「見えたか?行くぞ」

 研介達はその家に入った。

 すると、2階からその女性は降りてきた。

 『日本人?』

 『そうです。あなたは誰ですか?』

 『人に名前を聞くときは自分から名乗るものよ』

 『俺は三神大斗だ』

 すると、女性は言った。

 『私はアリス、アリス・チェンバース。そう呼ばれているわ』

 『そう呼ばれている?』

 『何かつっかかる言い方ね』

 アリスはそこにある椅子に座った。

 『あなたは何て呼ばれてるのかしら?ナンバー3』 

 アリスはジェイムズを指して言った。

 『僕?』

 『ジェイムズ。私達はそう呼んでいます』

 『ナンバー3?どうゆうことでしょうか?』

 アリスはゆっくりと息を吐き、口を開いた。

 『私はその子と同じ、クローンよ』

 『何……だと……』

 『私はナンバー2』

 『ナンバー2ということは1もいるの?』

 アリスは下を向いた。

 『ナンバー1は失敗したわ』

 『何でクローンなんか作ったんですか?』

 『実験よ、クローンを作る。ただそれだけの事よ。私が調べたらそう結論が着いたわ』

 『お前はここで過ごすのか?』

 『ええ、そのつもりよ』

 『大丈夫なのかしら?』

 『大丈夫わ、私もコルトーvの古いワクチンが入っているもの。それよりも、この家の東の家にまだ生存者がいるの。』

 『生存者?』 

 『ええ?だけど少し厄介なのよ』

 『厄介?』

 『行ってみれば、わかるわ』

 『分かりました。行ってみましょう』

 研介達は隣の家に行った。

 アリスはそれを見ると、無線機を取り出した。

 『今、私の家に来たわ。言われた通り、隣の家に移動させたわ。ダリエル』

 『ああ、ご苦労だった』

 研介達が家の中に入ると、男の叫び声が聞こえた。

 『誰だ!!』

 研介達は銃を構え、声が聞こえる方へ進んだ。

 とある部屋に、男はいた。

 周りには白い粉が入っている袋が数袋。

 そして、注射器などが適当に置いてあった。

 『誰だ!!』

 研介達はその狂った様子に何も言えなかった。

 『俺を殺すつもりだな!!いいだろう。返り討ちにしてやる!!』

 男はそこら辺にある注射器を両手に持つと、勢いよく大斗に向かって行った。

 『死ね!!』

 男は注射器を振り下ろすが、大斗はそれを避けた。

 研介がそれを横から殴った。

 男は怯みもしなかった。

 男はもう龍一に注射器を振り下ろした。

 龍一はそれを義手で受け止めると、注射器は粉々になった。

 後は一方的だった。

 男はソファに倒れた。

 しかし、男は注射器を腕に刺し、注射した。

 『良い!良い!!』

 男は立ち上がった。

 しかしその時だった。

 1発の銃声が鳴り響き、男の脳天から血が噴き出した。

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