22「ビルへ」

 ボウガンから発射された矢は、研介の目の前で消失した。

 「何だ!?」

 「あ、あれは!」

 そこには、個人装備用のトロフィー防衛システムがあった。

 研介は少年に向かってフラシュバンを投げた。

 少年の目の前で閃光が起きる。

 その隙に、研介は一気に少年に近づいて殴った。

 少年と研介は倒れた。

 「はあ、はあ、いいだろ?」

 愛美達が来た。

 「愛美さんですか?あれを出したのは。」

 「ええ、時間が持ったいないからよ。間に合って良かったわ。」

 少年はゆっくりと起き上がった。

 「まだ、まだ終わっていない。」

 「まだ戦うのかよ。」

 研介は立ち上がり、銃を向け近づいた。

 「もう終わりにしてくれ。俺らは自衛隊。この日本を守るはずだった組織だ。」

 「嘘だ。」

 「嘘じゃない。そして、君は何者?」

 少年は少しぐらついた。

 「分からない?ケースの中にいた。作った、お前らが。」

 「ケース?作った?何のこと?」

 少年は場に座った。

 「その様子、分かっていない。」

 「教えてくれないか?」

 「場所を変える。どこかある?僕は何もしない、本当だ。」

 研介達は話し合った。

 「分かった。付いてきてくれ。」 

 少年を研介はアパートへと案内する。


 少年を囲むように研介達は座った。

 研介達の自己紹介が終わり、本題へと入る。

 「まず、お前が何者か教えてくれ。」

 「僕の名前、無い。ケースで作られた。」

 「ケース?それは何だい?」

 「縦長で丸い、液体の入ったケース。」

 「まさか、SFでよくある培養液?クローンかな?」

 「多分、それ。」

 「クローンって本当!?」

 少年は頷いた。

 「何であんなに早いんだ?」

 「コルト―v。」

 「コルト―vって何かしら?」

 「ゾンビになるウイルス。」

 「ゾンビウイルスの正式名称か。」

 「もしかして、研介さんの治癒力も?」

 「分からない。」

 「そうかもしれない。あんな事ができるのは、コルト―vの古いワクチンが入った人だけ。」

 「古いワクチン?俺はワクチンを受けていたのか?」

 「そうかもしれない、僕には、分からない。」

 研介は思い出してみるが、何も浮かばない。

 「畜生、何も思い出せない。」

 「そのビルに行ったら何か分かるかもしれません。」

 「そうだ、僕に、名前を付けて。」

 少年は言った。

 「名前?」

 少年はまたも頷いた。

 研介達は悩んだ。

 「日本人っていう顔じゃないしな。」

 「漢字よりカタカナね、ジェイムスでいいんじゃないかしら。」

 「それでいい。」

 「まあ、この名前なんて一時的なものですし。後でじっくり考えましょう。」

 「それじゃ、ビルに行ってみよう。」

 「そうだな、そこに何かあるかもしれない。ジェイムズも行ってくれるか。」

 「いいよ。」 

 「翆玉ベリル、ビルってのは何処にある?」

 「南東の方っす。」

 「分かった、行ってくる。」

 「気を付けていってらっしゃい。お兄ちゃん達。」

 研介達は、ビルへと向かった。


 ビルへと向かうと、大斗達と丁度会った。

 「どうしたんですか、大斗さん。」

 「このビルに、奴らがいるかもしれないという情報が入った。」

 「やっぱり、このビルに何かあるようね。」

 「あの、この子誰?」

 「ジェイムズ。見た目によらず強い、研介が殺されかけていたから。」

 「このビルに何かあるという事は分かっています。早く行きましょう。」

 研介達は、ビルに入った。

 ビルに入ると壁に書かれていたものが目に入った。


  最上階にて待つ。


 「誰からだ?」

 「行ってみるしかないようですね。」

 最上階へと向かった。


 最上階には、男が立っていた。

 「よく来たな。」

 「お前は!ダリエル!?」

 それは、グリフォンを裏切ったと言っていた、ダリエルの姿があった。

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