23「久しぶりだな!」

 ダリエルはゆっくりと口を開いた。

 「お前ら、行動は慎重に行ってくれ。気付かれるとあの男の様になる。」

 「あの男?廃坑に居た男の事か!?」

 「そうだ。」

 「あなたが殺したの?」

 「ああ、私もこちらに居るのでね、やらなければいけなかったんだ。」

 「ダリエル!裏切っていなかったの?」

 「そいつがお前らを探していたので、連れてきてやった。喜んでいるようだ。」

 ダリエルは指を指して言った。

 その指の方向には、かつて学校に居て、チェンソーを受け止めたアイツの姿があった。

「ひ、久しぶりだな。お前らが連れてきたのか?」

 その時はよく見えなかったが、人型で全身が黒く、甲羅のような模様があった。

 「そうそう、そいつを連れてきたおかげで、下にもゾンビがいる。それでは。」

 ヘリが来た。

 「ご苦労。我らはフィリピンへ向かう。くれぐれも慎重に動いてくれ。」

 ダリエルはそのヘリに飛び乗った。

 ヘリは飛んで行った。

 「ダリエル!!」

 アイツはゆっくりと研介達に向かって行った。

 「大斗さん!愛美さんたちを連れて、下に行って下さい!」

 「分かった!お前に任せる!」

 大斗達は下へ向かった。

 「研介さん大丈夫でしょうか?」

 「分からない。だが、俺らでは歯が立たない事は確かだ。」

 ジェイムズは立ち止まった。

 「僕、行く。」

 「ジェイムズ君?」

 「そうか!ジェイムズなら大丈夫なはずです。」

 「分かった、研介を援護してくれ。俺らは下に行くぞ。」

 ジェイムズは上に、大斗達は下へと向かった。


 1階に着いた。

 「数が多い。気を引き締めて行くぞ。」

 大斗達はゾンビの大群の中へと入って行った。

 銃声が鳴り響き、血が吹き飛んだ。

 「信太!」

 優理はグレネードを3個投げた。

 信太はそれを撃った。

 爆発が起き、そこら一帯のゾンビは倒れた。

 信太がリロードをすると、周りのゾンビは信太に襲い掛かった。

 信太は銃を振り回し、リロードをした。

 ゾンビの量は少しづつだが、着実に減っていった。

 「くっ!」

 龍一が倒れると、ゾンビは一気に襲い掛かった。

 龍一の頭上で爆発が起きた。

 「大丈夫!?」

 愛美が駆け寄った。

 「ありがとうございます。」

 「気を付けなさい。」

 2人は銃を構えた。

 一方、舞は銃を撃ちながら後ろに下がっていた。

 小石につまずき倒れた。

 大斗は舞の背中を支え、舞の目の前に居るゾンビを撃った。

 「大丈夫か?」

 「…は、はい。」

 「気を付けろ。」

 ゾンビの数はかなり減っていた。


 最後の1体に銃を撃ち、ゾンビは倒れた。

 周りはすでに血の海と死体の山と化していた。

 「やっと片付いた。あの数を相手にして、傷が少ないことは幸運だった。」

 「全く、俺は夏を過ごすのは室内なんだが。」

 「さて、後は研介さんとジェイムズ君を待ちましょう。」

 大斗達はビルの最上階辺りを眺めた。


 少し前、ビルの最上階。

 研介が銃を構えると、ジェイムズが来た。

 「ジェイムズ!?」

 「援護しに来た。」

 「準備は良いな、ジェイムズ。」

 ジェイムズはナイフとボウガンを取り出し、頷いた。

 「それじゃあ行くぞ!」

 研介は銃を撃ち、ジェイムズはボウガンを撃った。

 しかし、どちらも効いている様子はない。

 アイツは腕を伸ばし、素早い動きで前に動いた。

 研介に当たり、壁に激突する。

 ジェイムズはアイツの頭を蹴ったが、首が傾いただけで、ダメージは与えられなかった。

 アイツはジェイムズを吹き飛ばした。

 研介はナイフを振り回すが効いていなかった。

 アイツは研介をもう1発殴った。 

 血が飛び散り、壁が破壊された。

 壁の向こうはエレベーターだった。

 ジェイムズはアイツの腹に両足で蹴った。

 アイツは後ろにのけぞった。

 アイツはもう1度腕を伸ばし、素早い動きで前に出た。

 研介とジェイムズが避けると、アイツは壁に直撃した。

 エレベータの四方の壁が壊れ、エレベータは落下して行った。

 研介達は、エレベーターと共に、下に落ちて行った。

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