45「ウイルスと計画」

 総一朗の話は続く。

 『コルトウイルスは微生物にのみ感染するウイルスだった。症状は簡単に言うと、活性化させる』

 『それで、それがどうしてこんな事に使われたんだ?』

 『この前の地球の人口は150億人だったね』

 この前とは、このパンデミックが起きる前の事だ。

 『そうだな、だが、それが関係あるのか?』

 『ああ、このパンデミックは地球の人口を減らすために、計画されたものだったんだ』

 『人口を減らす…?』

 『ああ、増えすぎた人口を減少させ、歴史をある程度戻そうという計画。その名も『World(ワールド)Rebirth(リバース)Project(プロジェクト)』だそうだ』

 大斗は顔をしかめた。

 『ま、まあ…言いたい事はあるだろうけど、何故そうなったかは僕達にも分からない』

 『それで、あなた達はその為にウイルスを創ったんですか?』

 『いいえ、正確には創らされたんです。WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)に』

 『WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)…ダリエルが言っていた組織ですね』

 NONEFACE(ノームフェイス)とWMP(ワールドマニピュレイトパーティ)、ダリエルが死ぬ前に研介達に言った組織名だ。

 『そう、WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)、その通りの意味だ、世界を操作する者達。奴らに脅され、僕達はこの船でコルト-vを創らされた。地球の人口を大幅に減らせるほどのウイルスを』

 『それがコルト-v…どうゆうウイルスだ?』

 『血液感染のみで、感染した後は君達も見たことがあるだろう。だけど、このウイルスはとある遺伝子が有ることだ』

 『ある遺伝子?それって何だ?』

 『主に天才が持っている遺伝子だ』

 『天才?エジソンとかの?』

 『そう、エジソンは、天才は1%の閃きと99%の努力で出来ていると言った。僕は天才は99%の努力ではなく、1%の閃きが出来る人の事だと思っている。慣用句に天才と狂人は紙一重というものがあるだろう。天才なんてのはそう言うものだ。僕達はその様な人達だけが持つ遺伝子の配列を発見し、その人達は感染しないようにした』

 天才と狂人は紙一重、今までのサイコパスもそうだったのかもしれない。

 『その、WRP(ワールドリバースプロジェクト)っていう計画を、知ったのは、いつ?』

 『奴らがこの船を襲撃した時、3年前だ、何故かは分からないが、律儀に教えてくれた。裏があるとは思う、俺等はこの船で研究を進めた』

 『コルト-vに感染するのは人だけなのか?』

 『そうです』

 だが、今まで蜘蛛や鴉などの動物が感染していたのを研介達は見てきた。

 『途中で感染した動物とも戦ったが、あれは一体何だ?』

 『ああ、それかい?それはコルト-s。人以外の動物のみに感染する、対コルト-vの生物兵器だ』

 『だけど私達にも襲ってきたわ。どうゆうこと?』

 『研介とジェイムズ、龍一もいるからだろう。奴らはコルト-vを発見すると、対象を攻撃する。コルト-sに感染しても死なないようには出来ている。まあ、それでも酷い損傷を受けると死亡してしまうけど』

 研介が初めの方に会った犬も損傷が激しかった。

 『巨大化もしていました。後、ダリエルは?』

 『開発が間に合わなかったんだ、済まない。ダリエルは違う、ダリエルは恐らく、コルト-vを大量に取ったんだろう。彼は新しいワクチンを摂取していた。あのワクチンは特殊だから。安心してくれ、注射器で直接入れなければ大丈夫だ』

 『その動物はそのままでしょうか?』

 『治るようにしてある。それに、コルト-vも5日で動けないようにしてある』

 『5日!?』

 『ああ、あと2日でこのパンデミックも終わりだ』

 『そうなのか!?』

 『ええ』

 研介達は喜んだ。

 歓声が巻き起こった。

 この数日間で一番嬉しい出来事だった。

 『ウイルスについてはこれで終わりだ。次は、僕達とWMP(ワールドマニピュレイトパーティ)について、それとジェイムズみたいなクローンについて話そう』

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