46「クローンとか」

 『ジェイムズ、僕達は君をNO.3と呼んでいる』

 『深い意味は無いぞ。ただ世界で作られた、3人目のクローンっていうだけだ』

 『アリスが言っていた通りか』

 TV局を出て幾らか進んだ時に出会った女性だ。

 アリスもジェイムズの事をNO.3と呼んでいた。

 『アリス…NO.2ですか』

 アリスは自分の事をNO.2と言っていた。

 『アリスは僕達が創ったんだ』

 『それじゃあ、ジェイムズは?』

 『ジェイムズは僕達じゃない、日本の研究所だろう。WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)でもない』

 日本で最後に訪れたビルの地下で創られていた。

 『あと、NO.1というのは?失敗したらしいけど』

 アリスが言っていたクローンだ。

 『違う』

 『違う?どうゆうこと?』

 『俺達が研究を始めた時、レイラン=リビィ=ロミオという男がいた』

 『そいつが、何かしたの?』

 『盗られたんだ。NO.1をレイランに。あいつは、初めからWMP(ワールドマニピュレイトパーティ)の一員で、NO.1を創り出すことが目的だったんだ』

 『そのことを知っていながら、あなた達は対抗出来なかったということね』

 NONEFACE(ノームフェイス)とWMP(ワールドマニピュレイトパーティ)では明らかに力の差があることは確かだった。

 『そう、僕達にはどうすることも出来なかったんだ。だけど、転機が来たんだ』

 『転機?』

 『襲撃です。だが、WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)も対策していた。私達は戸籍が無くなり、この世界に存在しない人達になった』

 『なるほど、だからNONEFACE(ノームフェイス)なのか』

 『そう、世界中に無い顔だからな』

 『そして、そこにダリエルが現れたんだ』

 ダリエル、今まで研介達の前に幾度となく現れた、NONEFACE(ノームフェイス)の仲間の男だ。

 『ダリエルが?』

 『ダリエルは世界中の研究機関に、人口が想定以上に減っても対処出来るよう、クローンの催促をし、WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)にも入った』

 『入る事が出来たんですか』

 『どうやって入ったかは分からないがな』

 『レイランはそのWMP(ワールドマニピュレイトパーティ)の司令をしている。君達を呼んだのは他でもない。奴ら、WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)を倒して欲しいんだ』

 『もしかして、ダリエルは私達がグリフォンと手を組む事を望んでいたのですか?』

 グリフォン、フィリピン軍の特殊部隊の事だ。

 『ああ、だから、グリフォンと名乗っていたのか』

 『でも何であんな方法を使ったんだろう?』

 ダリエルは終始、敵なのか味方なのか分からない役をしていた。

 『ダリエルは映画が好きだったんだ。だからじゃないかな。僕はただ呼んでくれと言っただけだし』

 『面倒なことだな』

 信太は少し笑いながら言った。

 『分った。ここまで来れば結論は一つだ、逃げることは出来ないようだな。やりましょう、大斗さん』

 『ああ、そうだな。奴らを許しちゃいけない』

 『でも、これからどうすればいいんだ…』

 『あの…』

 優理は手を挙げた。

 『何かあるの?案』

 『まさかお前がWMP(ワールドマニピュレイトパーティ)の一員っていうご都合主義は無いよな』

 優理は黙っていた。

 『いや、そんなご都合主義もあるらしいな』

 『君、奴らに通じる無線があるのか?』

 『え、ええ。無線じゃないけど、文章を送る装置なら』

 全員、顔が固くなった。

 『なるほど、だから奴らがフィリピンに来ることが分かっていたのか』

 フィリピンに来る時、操縦をしていた蒼はスナイプされた。

 『よし、計画を練ろう。僕等の決戦だ』

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