47「闘いの始まり」

 『WMP(ワールドマニピュレイトパーティ)は南シナ海を航海しているらしい』

 『航海?船なのか?』

 『そうだ。だが、どこを進んでいるかは知らん』

 『ああ、そこでだ。優理、君には奴らを呼んでくれればいい』

 『でも、それだとヘリとかで来るんじゃないか?』

 『ヘリで来たら落とせばいいし、奴らは船で来る。今、この世界で、この海の上を飛べるヘリは奴らしかないし、落とされる危険性がある。それに、奴らだって分かっているはずだ、僕等の計画を』

 『それじゃあ、船が来たらどうする?』

 『研介、大斗、優理、愛美、ジェイムズは奴らの船に上がってくれ。ハシゴがある。上がれない場合はロープ発射機もある。後はレイランを討ってくれ。他の人は船で待機、及び籠城だ準備してくれ。それじゃあ、各自準備をしよう』

 研介達は部屋を出た。

 その後、優理はWMP(ワールドマニピュレイトパーティ)に応援を呼んだ。

 研介達は外へ行った。

 総一朗は龍一に近づいた。

 「龍一、君の義手は相当傷んでいた。君が寝ている間に直しておいたよ。基盤は傷ついて無かったから、配線だけだったよ」

 「ありがとうございます」

 ドナルドとライツ、宇春マーチュエは、船のブリッジで遠くとレーダーを見ていた。

 遠く、右前に船が見えて来た。

 船を止めた。

 ドナルドは研介に無線を送った。

 『研介さん、見えてます?』

 『ああ、あの黒いのか』

 『そうです。幸運を祈っています』

 無線を切った。

 船が近づいてきた。

 「弾込め良し、安全装置良し、連発良し」

 「クイックリロードも今回は大丈夫だ。準備はいいか?」

 「はい、行きましょう」

 「衝撃来るわ、捕まって」

 研介達は手すりを掴んだ。

 船と船が擦れ、大きく揺れた。

 揺れが収まると、優理はハシゴを双方の船に掛けた。

 そのハシゴを伝って行く。

 だが、敵兵士の姿は見当たらなかった。

 「どうゆうことだ?まさか、俺らが来るのが分かっていたのか?」

 「そうだと思います。注意して行きましょう」

 室内に入り、奥へとすすんだ。

 とある一室に着いた。

 そこには更に奥へと続く扉と、1人の男。

 床に座り、髭を生やした男だ。

 両腕の腕輪にはジグソーパズルのような形で、縦に2つに割れた鍵が付いていた。

 「仁…!」

 「知っているのか?」

 「5年前に起きたテロ事件、その犯人で、私の両親を殺したわ」

 「因縁の相手、ということだね」

 仁は立ち上がった。

 「やられた、奴らは何者だ?いきなり檻から出されたと思ったら、この有様だ。どうやら、俺は死ぬしかないようだ。だが、決着をつけよう。愛美」

 「仁、大人しく死ぬ気はないのね」

 「ああ、俺は自分の目的を果たせればそれでいい」

 「それじゃあ、その目的というのは?」

 「自分の闘いを終わらせることだ」

 「分かったわ、大斗達は手を出さないで」

 「分った、がんばってくれ」

 大斗達は離れた。

 「行くぞ!愛美!」

 仁はそう言った直後、愛美に殴り掛かった。

 それを避け、間一髪入れずに殴った。

 顎の右側に当たった。

 仁はその反動で肘打ちをした、今度はしっかりと当たった。

 2人はその場からあまり動かずに、交戦した。

 足や拳が連続して飛び交った。

 愛美は横蹴りを放った。

 仁がバックステップをすると、続けざまに殴り掛かった。

 だが、仁は前蹴りをし、愛美は後ろに下がった。

 続けて殴り掛かった。

 愛美は、その腕を持つと、もう片方の腕で仁の顔を殴った。

 仁はその場に倒れた。

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